2012 Fiscal Year Research-status Report
植物におけるイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性:侵入・伸展抵抗性の分子基盤の解明
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23580064
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
石川 敦司 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (70264687)
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Keywords | イネいもち病 / 非宿主抵抗性 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究の目的は、植物のイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性(侵入・伸展抵抗性)を制御する新規遺伝子の単離と機能解析および制御遺伝子間ネットワーク機構の解析を行い、重要な制御因子を明らかにするとともに非宿主抵抗性の全体像を理解することである。 本年度は、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性におけるNADPH オキシダーゼ (RBOHs)の機能解析を行った。その結果、シロイヌナズナpen2 atrbohF変異体において、イネいもち病菌に対する伸展抵抗性がpen2変異体に比べて著しく低下することを見いだした。この結果から、AtRbohFはシロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性において正の制御因子として機能していることが示唆された。 次に、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性におけるMAPキナーゼの機能解析を行った。その結果、シロイヌナズナpen2 mpk6変異体において、イネいもち病菌に対する侵入抵抗性と伸展抵抗性がpen2変異体に比べて低下することを見いだした。この結果から、MPK6はシロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性において正の制御因子として機能していることが示唆された。 さらに、pen2多重変異体においてイネいもち病菌感染時に発現する遺伝子を同定するために遺伝子発現アレイ解析を行った。その結果、イネいもち病菌の侵入にともない複数の受容体キナーゼ遺伝子の発現が顕著に誘導されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究により、シロイヌナズナのイネいもち病菌に対する非宿主抵抗性において、NADPH オキシダーゼ(AtRbohF)およびMAPキナーゼ(MPK6)が正の制御因子として機能していることを明らかにした。 また、pen2多重変異体において、イネいもち病菌の侵入にともない複数の受容体キナーゼ遺伝子の発現が顕著に誘導されることを明らかにした。 以上のことから、到達目標通りの成果を上げることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後もさらに本研究を推進させていく予定である。 シロイヌナズナpen2 NahG pmr5 mlo2変異体を用いて、イネいもち病菌に対する非宿主抵抗性が増大および減少する突然変異体を探索する。スクリーニングには、EMS処理したpen2 NahG pmr5 mlo2変異体の集団とシロイヌナズナFOXライブラリー(完全長cDNAライブラリー)を導入したpen2 NahG pmr5 mlo2変異体の集団を用いる。これにより非宿主抵抗性に促進的あるいは抑制的に作用する遺伝子を単離する。 また、pen2多重変異体において、イネいもち病菌の侵入にともない発現が顕著に誘導される受容体キナーゼ遺伝子の非宿主抵抗性における機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、上記のように新たな突然変異体の探索および受容体キナーゼ遺伝子の機能解析を行う予定である。そこで研究費は主にその物品費として使用する予定である。 次年度使用額(繰越額)は、上記物品費に充当する。
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