2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580075
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飯山 和弘 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70325489)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | Serratia liquefaciens / プロテアーゼ / 病原力 / 組換えタンパク質 |
Research Abstract |
当研究室において分離したSerratia liquefaciens Kuo1-1の主要な病原力因子を同定し,その発現および活性を抑制することで,本菌による発病を制御することが可能であると考えられた。本菌が培養ろ液中に分泌するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が殺虫活性を有することが示唆された。ザイモグラフィーおよび活性阻害試験の結果から,プロテーゼ活性は2種のセラリシン様メタロプロテアーゼによるものであることが明らかとなった。そこで,S. liquefaciensのゲノムからこれら遺伝子のクローニングおよび塩基配列の決定を行い,ser1およびser2とした。続いて,これら遺伝子の産物であるSer1およびSer2が実際に昆虫に与える影響を検討するために,組換えタンパク質の発現を試みた。まずオープンリーディングフレーム全長を大腸菌で発現させた場合,発現は認められたが,活性は極めて低かった。そのためS. liquefacinsにおけるタンパク質プロセッシングが活性化に必要であると考えられた。そこで,広宿主域ベクターを基礎とし,新たな発現ベクターを構築し,S. liquefaciensでの発現を試みた。その結果,発現,活性は認められたが,アフィニティー精製において担体への吸着が認められなかった。これはプロセッシングによってN末端に付加したタグが除去されたためであると考えられた。またC末端にタグを付加した場合でも状況は改善されなかった。そのため成熟タンパク質領域を大腸菌において発現させたところ,組換えタンパク質の発現および活性が認められた。さらにアフィニティー精製により高度に精製することが可能であった。そのため,今後これら組換えタンパク質を用いて昆虫に及ぼす影響を詳細に検討することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S. liquefaciensが産生するセラリシン様メタロプロテアーゼは,本菌の重要な病原力因子であると推定されている。しかしながら本タンパク質が宿主昆虫に致死的効果を示すのか,また,昆虫組織にどのような影響を及ぼすについては研究がなされていなかった。これらのことを解決するためには,本タンパク質の組換え体を大量に産生するための技術開発が不可欠であった。今年度,種々の条件を検討することにより,該当タンパク質を大量に産生するための手法を確立することができ,上記目的を達成するための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
S. liquefaciensが産生する二種のセラリシン様メタロプロテアーゼの組換えタンパク質(rSer1およびrSer2)を,本年度確立した手法により,高純度かつ大量に精製を行う。 上記方法により得られた組換えセラリシン様メタロプロテアーゼを用いて,殺虫活性,免疫に関与するタンパク質群の分解活性,マトリックスメタロプロテアーゼの活性化等,宿主に及ぼす影響を検討する。さらに当該遺伝子ノックアウト変異株を作出し,殺虫活性の役割について詳細に検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組換えセラリシン様メタロプロテアーゼを調製するためのカラム,試薬等を購入する。さらに,得られた組換えタンパク質の至適pH,至適温度,基質特異性等の酵素学性質の検討および殺虫活性を検討する際の研究に使用する試薬,器具等を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)