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2012 Fiscal Year Research-status Report

昆虫類における多型発現のエピジェネティクス

Research Project

Project/Area Number 23580079
Research InstitutionTamagawa University

Principal Investigator

佐々木 哲彦  玉川大学, 学術研究所, 教授 (60235257)

Keywordsエピジェネティクス
Research Abstract

ミツバチとアブラムシのDNAは、昆虫としては例外的にメチル化される。ミツバチでは女王バチと働きバチのカースト分化、アブラムシでは、有翅型と無翅型という多型発現に関与していると考えられる。本課題では、昆虫多型発現のエピジェネティックな制御機構を調べるため、これらの昆虫のゲノムのメチル化の全体像を明らかにし、多型間でメチル化の状態の異なる遺伝子を検索し、遺伝子のメチル化が転写にどのように影響するかを解析することを計画した。平成23年度は、ミツバチのDNAメチル化パターンをゲノムワイドに解析した。具体的には、働きバチに分化するか、女王バチに分化するかが運命づけられた孵化後4日目の幼虫からDNAを抽出し、次世代シークエンスを利用してゲノムワイドにメチル化の解析を行った。
平成24年度は、23年度の解析結果に基づき、働きバチと女王バチでメチル化の頻度が異なる20個の遺伝子を選び、カースト決定期前後のメチル化パターンの継時的な変化を詳細に調べた。孵化後3日目、4日目、5日目の幼虫について調べたところ、女王バチでは、働きバチに比べ、メチル化の頻度が徐々に低下する傾向が強いことが明らかになった。また、23年度の解析から、性決定遺伝子の1つであるtransformer 2 (tra2)が女王バチと働きバチでメチル化のパターンが異なるという結果が得られていた。性決定遺伝子がカースト分化にも関与している可能性を示唆する興味深い結果であったため、この遺伝子について逆転写定量PCR法で発現解析を行った。しかし、発現レベルの違いを検出することはできなかった。
アブラムシについては、有翅型と無翅型のDNAを次世代シークエンスで解析し、得られたリードをゲノムにマッピングした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度に女王バチと働きバチのDNAメチル化パターンの解析を実施した。平成24年度は、23年度の解析から得られるカースト間でメチル化頻度の異なる遺伝子について、カースト決定期前後におけるメチル化の継時的な変化を調べることを計画していた。当初の計画では、この実験は通常のバイサルファイト・シークエンスで行うことを予定していたが、実際には次世代シークエンスを利用したアンプリコン解析を実施した。次世代シークエンスを利用することで、当初の計画以上に多くの遺伝子について、より信頼できる結果を得ることができた。
また、24年度には女王バチと働きバチでメチル化の異なる遺伝子について、逆転写定量PCR法で発現レベルを調べることも計画していた。23年度に性決定遺伝子であるtra2のメチル化のパターンがカースト間で異なるという興味深い結果が得られていたので、この遺伝子の発現解析を実施した。残念ながら、tra2については発現レベルでの違いを検出することができなかった。しかし、その一方で23年度の結果をより詳細に調べたところ、tra2以外に、malelessやmales absent on the first (mof)などの性決定に関わる遺伝子でも、メチル化頻度がカースト間で異なっていることが明らかになった。
アブラムシについては、24年度中に有翅個体と無翅個体のDNAについて、ミツバチの場合と同様の方法でゲノムのメチル化パターンを解析することを計画していた。計画通り、次世代シークエンス解析を終わらせシークエンス・リードをゲノムにマッピングすることまで完了できた。

Strategy for Future Research Activity

ミツバチのメチル化については、24年度までに女王バチと働きバチのゲノムのメチル化パターンを比較し、両者でメチル化の状態が異なる幾つかの遺伝子について、カースト決定期前後の継時変化を解析したので、これらの成果を論文にまとめる。
また、23年度の結果から、性決定に関わる幾つかの遺伝子で、女王バチと働きバチでメチル化の頻度が異なることが明らかになった。そこで、性決定遺伝子に注目しながら、23年度のデータを再解析し、性決定遺伝子のメチル化の特徴を明らかにする。興味深いパターンを示す遺伝子が見つかれば、逆転写定量PCR法による発現解析を行う。また、性決定遺伝子のメチル化を雌雄間で比較した研究はないので、幾つかの遺伝子について、雄バチでのメチル化を解析する。
アブラムシについては、マッピンング結果からゲノムに含まれる全CGサイトのリストを作成し、有翅型と無翅型でメチル化頻度が有意に異なるサイトを抽出し、多型間でメチル化の状態が異なる遺伝子のリストを完成させ、それらの遺伝子のgene ontology解析を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Quantitative analysis of the lytic cycle of WO phages infecting Wolbachia.2012

    • Author(s)
      Furukawa S., Tanaka K., Ikeda T., Fukatsu T. and Sasaki T
    • Journal Title

      Applied Entomology and Zoology

      Volume: 47 Pages: 449-456

    • DOI

      10.1007/s13355-012-0142-6

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] セイヨウミツバチのカースト間におけるゲノムメチル化の比較2013

    • Author(s)
      坂本洋典、鈴木美穂、佐々木哲彦
    • Organizer
      日本応用動物昆虫学会第57回大会
    • Place of Presentation
      日本大学、神奈川県
    • Year and Date
      20130327-20130329
  • [Presentation] DNA methylation during the caste determination in the European honeybees, Apis mellifera.2012

    • Author(s)
      Sakamoto H., Suzuki M. and Sasaki T.
    • Organizer
      The 24th International Congress of Entomology
    • Place of Presentation
      Daegu, Korea
    • Year and Date
      20120819-20120825
  • [Remarks] 玉川大学グローバルCOE事業推進担当者

    • URL

      http://gcoe.tamagawa.ac.jp/jpn/member/detail.html?id=14

URL: 

Published: 2014-07-24  

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