2011 Fiscal Year Research-status Report
加害寄主の異なるゴマダラカミキリは異なる情報を使って配偶者を探索しているのか
Project/Area Number |
23580081
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
安居 拓恵 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫相互作用研究ユニット, 主任研究員 (80414952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 直 (藤原 直) 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫相互作用研究ユニット, 研究員 (40568440)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 寄主植物 / 配偶者探索 / 揮発性物質 / 配偶行動 |
Research Abstract |
ゴマダラカミキリは寄主範囲が大変広く、幼虫がカンキツ類、ブルーベリーなどの果樹、ヤナギ、プラタナスやポプラなどの街路樹等の幹の内部を食害して樹勢を弱らせ、枯死させることがある。ゴマダラカミキリは近縁種を含め、これまでに確かな誘引力を持つ性フェロモンは報告されていない。23年度は、3つの異なる寄主植物由来のゴマダラ成虫(ミカン個体群、ブルーベリー個体群、およびヤナギ個体群)を採集し以下の実験を行った。ブルーベリーおよびヤナギ個体群については、それぞれの寄主枝の匂いへの誘引現象を確認し、配偶者探索行動を詳細に解析し、寄主植物の傷枝からの揮発性物質に誘引活性があることを明らかにした。活性物質の探索・同定を行い、それぞれ異なる誘引物質を利用していることを明らかにした。さらにゴマダラカミキリの寄主植物への誘引現象を多角的に調査するために、3個体群を用いて異なる寄主枝の匂いに対する誘引現象を確認した。また、個体群間でオスの触角をメス体表抽出物に接触させた後の配偶行動を観察したところ、異なる個体群間では反応に違いが認められた。ゴマダラカミキリは自身が放出する誘引性の性フェロモンを持たないと考えられるが、寄主植物範囲の広い本種は、自身の加害する寄主植物の匂い情報を利用して配偶者探索していることが示唆される結果が得られた。配偶者探索に関わる誘引現象に寄主植物の物質が関与していることと、最終的にコンタクトフェロモンに寄主植物が異なる個体群によって異なる物質を利用している可能性を確かめ、一連の配偶者探索行動における物質情報を解明することにより、防除法の開発につなげる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ブルーベリーおよびヤナギ個体群について寄主植物由来の誘引活性物質の同定までできたので平成23年度研究実施計画に記載した内容以上の進行状況である。そのほかは計画に記載した通りの進展である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に記載した内容を推進する。さらに、野外個体を使用する場合は個体の履歴が明確ではないので、餌の前歴等のはっきりとわかる個体を得るためにゴマダラカミキリの人工飼育を試みる。野外メス成虫から採卵し、孵化した幼虫を人工飼料で飼育して成虫を得たいと考えている。ただし、これまでの報告では歩留り5%、本種は成虫まで1年ないし2年を要することから、チャレンジングな課題である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度においては既存の設備・物品を効率的に使用したため、物品費に残額が生じた。24年度については、研究実施計画に記載した内容を遂行するため、抽出、分画等に多くの消耗品等を使用する予定である。人工飼育にも消耗品が必要となる。旅費については3個体群その他を採集および現地実験するための交通、宿泊費に当てる。その他、当該研究の論文発表、国内学会参加等のための経費を計上した。
|
Research Products
(2 results)