2012 Fiscal Year Research-status Report
加害寄主の異なるゴマダラカミキリは異なる情報を使って配偶者を探索しているのか
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23580081
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
安居 拓恵 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (80414952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 直(藤原直) 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (40568440)
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Keywords | 寄主植物 / 配偶者探索 / 揮発性物質 / 配偶行動 / 接触性性フェロモン |
Research Abstract |
ゴマダラカミキリは寄主範囲が大変広く、幼虫がカンキツ類、ブルーベリーなどの果樹、ヤナギ、プラタナスやポプラなどの街路樹等の幹の内部を食害して樹勢を弱らせ、枯死させることがある。本種は近縁種を含め、これまでに確かな誘引力を持つ性フェロモンは報告されていないことから、どのように配偶者探索しているのかほとんど解明されていない。本研究では寄主植物の異なるゴマダラカミキリ個体群は利用する情報化学物質も異なるのか明らかにすることを目的としている。24年度は、3つの異なる寄主植物由来のゴマダラ成虫(ミカン個体群、ブルーベリー個体群、およびヤナギ個体群)を採集し以下の実験を行った。個体群間でオスの触角をメス体表抽出物に接触させた後の配偶行動を観察したところ、異なる個体群間では反応に違いが認められたことから、それぞれの個体群のメスの接触性性フェロモン成分を分画、分析し、成分の有無、含有量等を比較した。その結果、すべての個体群ですべての接触性性フェロモン成分を保持していることが明らかとなり、また比較した15成分のうち必須成分であるラクトン3成分の量が行動に影響しているものと推測された。さらにゴマダラカミキリの寄主植物への誘引現象を多角的に調査するために、3個体群を用いて異なる寄主枝の匂いに対する誘引現象を確認し、自身の加害する寄主植物の匂い情報を利用して配偶者探索していることが示唆された。以上より、本種は自身の加害する寄主植物の匂い情報を利用して配偶者探索し、最終的にオスは個体群によらず共通する接触性性フェロモン成分を認識して同種メスであることを確認して交尾行動に至ると考えられる。 また、昨年度新たに計画したゴマダラカミキリの人工飼育を試みた。野外メス成虫から採卵し、孵化した幼虫を人工飼料で飼育して、ある程度の成虫が得られる見込みが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度中に達成する予定であったブルーベリーおよびヤナギ個体群について寄主植物由来の誘引活性物質の同定まで平成23年度中に達成した。3種個体群間の接触後の配偶行動と接触性性フェロモンの分析について25年度までに達成する予定であったが、24年度中に3種の個体群間でオスの触角をメスに接触させた後の配偶行動を観察し、すべての個体群の接触性性フェロモンの分画・分析及び比較を進め、比較検討まで達成した。また、途中で計画した人工飼育であるが、人工飼料で卵から成虫まで履歴のはっきりした成虫を得ることが可能となった。そのほかは計画に記載した通りの進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に記載した内容を推進する。さらに、ゴマダラカミキリの人工飼育がある程度達成できる見込みが立ったので、餌履歴の明らかな飼育虫を用いて、餌情報や配偶者探索情報の利用について解明していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度については、研究実施計画に記載した内容を遂行するため、抽出、分画等に多くの消耗品等を使用する予定である。人工飼育にもかなりの消耗品が必要となる。旅費については採集および現地実験するための交通、宿泊費に当てる。最終年度にあたるので、これまでの成果を国際学会で発表する。その他、当該研究の論文発表、国内学会参加等のための経費を計上した。
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Research Products
(3 results)