2013 Fiscal Year Annual Research Report
加害寄主の異なるゴマダラカミキリは異なる情報を使って配偶者を探索しているのか
Project/Area Number |
23580081
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
安居 拓恵 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 主任研究員 (80414952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 直 (藤原 直) 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 研究員 (40568440)
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Keywords | 誘引物質 / 寄主植物 / 配偶者探索 / 揮発性物質 / 性フェロモン |
Research Abstract |
ゴマダラカミキリは寄主範囲が大変広く、幼虫がカンキツ類、ブルーベリーなどの果樹、ヤナギ、プラタナスやポプラなどの街路樹等の幹の内部を食害して樹勢を弱らせ、枯死させることがある。本種は近縁種を含め、これまでに確かな誘引力を持つ性フェロモンは報告されていないことから、どのように配偶者探索しているのかほとんど解明されていない。本研究では寄主植物の異なるゴマダラカミキリ個体群は利用する情報化学物質も異なるのか明らかにすることを目的としている。昨年度新たにゴマダラカミキリの人工飼育を試み、孵化した幼虫を人工飼料で飼育してある程度の成虫(歩留り1割程度)が得られる見込みが立ったので、今年度は、飼育虫を用いて幼虫時の寄主と羽化後摂食した寄主植物のどちらにオス成虫が定位反応を示すか、オスの定位反応を解発する寄主傷枝の匂い情報がどの段階で獲得されるのかを明らかにする実験を行った。同時に、3種の寄主枝を供試して寄主選好性についても調べた。結果は、羽化後一週間の時点(摂食前)では幼虫時の餌である人工飼料の匂いに高頻度で定位したが、後食すると後食した寄主植物の匂いに対してより高い反応を示した。この結果から、幼虫時に摂食した寄主植物の情報は羽化直後は保持されるが、羽化後に摂食する植物によってその情報は塗り替えられる可能性が示された。同時に3種の寄主枝を供試して寄主選好性および消費量についても調べたところ、オスとメスでは違いが認められ、オスのほうが直近に摂食した寄主植物をより好んだ。これらの結果から、オスは置かれた状況に適応して、その状況下で他個体による摂食で傷ついた枝の匂い情報を利用して配偶相手を探索しているのではないかと考えられた。なお、昨年度やり残した接触性性フェロモンの一部の成分について、新たに購入したソフトウェアを用いたガスクロマトグラフ解析を行い、成分の有無や量を明らかにした。
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Research Products
(5 results)