2013 Fiscal Year Annual Research Report
ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いたカイコセリシン遺伝子のノックアウト
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23580083
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
高須 陽子 独立行政法人農業生物資源研究所, 新機能素材研究開発ユニット, 研究員 (00414912)
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Keywords | カイコ / TALEN / セリシン / ノックアウト |
Research Abstract |
本課題の実施中にZFNよりも確実にカイコの遺伝子をノックアウトする方法が開発されたため、当初の予定を変更し、TALENを用いてセリシン遺伝子ノックアウト系統のカイコを作製した。昨年度までにSer1およびSer3遺伝子を標的とするTALENのmRNAをカイコ受精卵に注射し、標的とした遺伝子由来のセリシンタンパク質を欠損する次世代の個体を確認した。最終年度には、主にSer1遺伝子変異系統について、遺伝子配列、転写物の塩基配列、飼育成績、セリシン量等を調査した。 SDS-PAGEにより、繭層からSer1タンパク質がほとんど検出されない個体を選び、第2エクソンから第2イントロンにかけて塩基の欠失および挿入のある2系統を得た。一方は少量のSer1タンパク質が検出されたが、他方は完全に欠損していた。RT-PCRにより、前者ではスプライス部位が移動し、フレームシフトを伴わない転写産物が比較的多く検出されたが、後者では第2エクソン全体を欠失し、フレームがシフトする異常な転写産物が多く検出された。これにより、TALENにより導入された変異が正常な転写を妨げていることを確認した。 Ser1ノックアウト系統を全齢人工飼料で飼育したところ、ホモ接合の変異体は十分に吐糸できず蛹化あるいは羽化しなかった。野生型とのヘテロ接合の変異体は野生型と同様に継代可能であった。5齢あるいは全齢桑葉育では、ホモ接合の変異体の羽化率が大きく改善し、ホモ化系統での維持も可能であった。ホモ型変異体、ヘテロ型変異体、正常個体の繭層のセリシン含有率はそれぞれ20.1、24.3、27.0%で、ノックアウト系統の繭層では有意にセリシン量が減少していた。 以上の結果から、Ser1遺伝子をノックアウトすることで、カイコは吐糸に異常を来すことがあるが、飼育条件によって克服が可能であること、また、セリシン量が有意に減少するため、中部絹糸腺を利用した物質生産に適していることがわかった。
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Research Products
(5 results)