2011 Fiscal Year Research-status Report
褐色黒ぼく土とその類縁土壌の分布特性と地理情報システムによる空間解析
Project/Area Number |
23580085
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 均志 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30250731)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 土壌分類 / 褐色黒ぼく土 / 黒ぼく土類縁土壌 |
Research Abstract |
本研究は,(1) 褐色黒ぼく土とその類縁土壌を調査し,(2) 地理情報システムによる空間解析の手法を用いてその分布域を予測し,(3) その土壌生成を火山ガラスや他の土壌構成成分の物質科学的解析から詳細に検討することを目的とする。 初年度は褐色黒ぼく土のとその類縁土壌の土壌調査と試料採取および地理情報システムによる空間解析の枠組みの検討を実施した。具体的内容は次の通り。前年までに採集した宮城県の森林土壌14地点から採取した試料を用い,褐色黒ぼく土とその類縁土壌は黒ぼく土が隣接する褐色森林土地帯に分布することを確認した。宮城県中央部の大衡丘陵の黒ぼく土-褐色森林土系列の4地点から採取した土壌試料の詳細な分析および結果の解析を行い,黒ぼく特徴の発現程度に地形が関係している可能性が示唆されその結果を国内学会で報告した。秋田県林業試験場の協力を得て秋田県南部の森林土壌33地点から採取した試料153点の譲渡を受け,宮城県以外の地域での褐色黒ぼく土とその類縁土壌のおおよその分布域評価の準備を進めることができた。また,褐色黒ぼく土の分布域予測のベースとなる空間解析には,ファジー理論を使った丘陵地の斜面位置情報が有望であることが文献調査によりわかった。 以上の結果は2年目以降の研究のベースとなるものである。採取した試料の分析および初年度に明らかになった知見をもとに検討を進めることは,当初の研究目的の達成につながると確信する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
宮城県中央部の大衡丘陵の黒ぼく土-褐色森林土系列をモデル地域とした精密土壌調査を行って試料採取および詳細な分析を実施する予定であったが,東日本大震災による津波被災農地の調査等に重点的に対応せざるを得なかったため実施が不充分となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に採取した試料の分析および明らかになった知見をもとに検討を進めるとともに,初年度に実施できなかった宮城県中央部の大衡丘陵の黒ぼく土-褐色森林土系列をモデル地域とした精密土壌調査を早急に実施する(既に地権者との調整は済んでいる)。 精密土壌調査で採取した土壌試料の容積重,選択溶解法によるアルミニウム,鉄,ケイ素含量,pH (NaF),リン保持量,全炭素含量などを分析し,日本の統一的土壌分類-第二次案(2002)-もしくは包括的土壌分類第1次試案および最新の世界土壌照合基準(WRB)にて分類名を決定するとともに,ファジー理論を使った丘陵地の斜面位置情報を用いて褐色黒ぼく土の分布特性の解析を行う。 また,採取した土壌試料中の火山ガラスや他の土壌構成成分の物質科学的解析を並行して実施し,これらの土壌(母材)へのテフラの混入程度や給源の検討を行う。また,第2の黒ぼく土-褐色森林土系列モデル地域の選定をすすめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,当初計画していた宮城県中央部の大衡丘陵の黒ぼく土-褐色森林土系列をモデル地域とした精密土壌調査を次年度に延期することによって生じたものであり,延期した調査・分析に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
|