2012 Fiscal Year Research-status Report
褐色黒ぼく土とその類縁土壌の分布特性と地理情報システムによる空間解析
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23580085
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 均志 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30250731)
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Keywords | 土壌分類 / 褐色黒ぼく土 / 黒ぼく土類縁土壌 |
Research Abstract |
本研究は,(1) 褐色黒ぼく土とその類縁土壌を調査し,(2) 地理情報システムによる空間解析の手法を用いてその分布域を予測し,(3) その土壌生成を火山ガラスや他の土壌構成成分の物質科学的解析から詳細に検討することを目的とする。 今年度は,宮城県中央部の大衡丘陵の黒ぼく土-褐色森林土系列をモデル地域とした精密土壌調査と試料採取および詳細な分析,宮城県北部の黒ぼく土地帯のスギ人工林における土壌生成要因の検討,秋田県南部の森林土壌の黒ぼく特徴の評価を実施した。具体的内容は次の通り。大衡丘陵にある宮城県林業技術総合センター内のアカマツ人工林約 1.8 ha を調査地として47地点からの簡易土壌試料採取と理化学性の分析を行い,その結果を参考に5地点で土壌断面調査および試料採取および詳細な分析を実施し,大衡丘陵でみられる褐色黒ボク土類縁土壌の地形に応じた分布(空間分布)を明らかにした。また,宮城県北部黒ぼく土地帯のスギ人工林におけるO層の変化とA層上部の特性が間伐強度に強く依存する土壌生成の方向性を明らかにし,国内学会で報告した。昨年度秋田県森林技術センターの協力を得て入手した秋田県南部の森林土壌33地点から採取した試料153点の予備的な分析を実施し,秋田県での同様な調査の実施候補地の絞り込みと秋田県への調査協力の要請を行うことができた。 以上の結果は3年目の研究のベースとなるものである。これまで明らかになった知見をもとに検討を更に進めることは,当初の研究目的の達成につながると確信する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災への対応のため初年目の実施が遅れた宮城県中央部大衡丘陵の精密土壌調査を今年度無事に行い,その分析も急ピッチで進めることができたため,おおむね当初の計画に沿った成果を得るに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに得た知見をもとに褐色黒ぼく土の分布域予測のベースとなる空間解析を行う。宮城県以外の地域での褐色黒ぼく土とその類縁土壌の空間分布の評価を行う目的で,秋田県森林技術センターを第2のモデル地域として精密土壌調査と試料採取および詳細な分析を実施する。 精密土壌調査で採取した土壌試料の容積重,選択溶解法によるアルミニウム,鉄,ケイ素含量,pH (NaF),リン保持量,全炭素含量などを分析し,日本の統一的土壌分類-第二次案(2002)-もしくは包括的土壌分類第1次試案および最新の世界土壌照合基準(WRB)にて分類名を決定するとともに,ファジー理論を使った丘陵地の斜面位置情報を用いて褐色黒ぼく土の分布特性の解析を行う。 また,採取した土壌試料中の火山ガラスや他の土壌構成成分の物質科学的解析を並行して実施し,これらの土壌(母材)へのテフラの混入程度や給源の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,第2のモデル地域の精密土壌調査と分析および研究成果の報告(学会発表と論文投稿)に必要な経費として,平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)