2011 Fiscal Year Research-status Report
水田土壌炭素の変動を予測するためのイネの根から分泌される有機態炭素量の測定
Project/Area Number |
23580087
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
程 為国 山形大学, 農学部, 准教授 (80450279)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イネ / 有機態炭素 / 水耕栽培 / 分泌量 |
Research Abstract |
イネの分泌物は、水田土壌中の炭素動態の変動、特に温室効果ガスの一つであるメタン放出量に大きな影響を与えていることが明らかになっている。しかし、生育期間中に分泌される有機態炭素量、またその分泌量の品種間差や生育ステージによる違いに関してほとんどが未解明である。本研究の初年度には、8品種のイネを用いた水耕栽培実験を行い、イネの根から分泌される有機態炭素量を正確に測定し、その分泌量の品種間における差異性を明らかにすることを目的とした。 初年度の実験では、ジャポニカ(日本晴、コシヒカリ、アキタコマチ)、インディカ(タカナリ、Dular、IR72)、ハイブリッド(Shanyou63、Liangyoupei9)の異なるイネ8品種を用いて、室内で8週間水耕栽培を行った。培養液を交換する際に溶液のサンプリングを行い、その溶液中に分泌された有機態炭素量をTOCアナライザーで測定した。また、2週間おきに植物体のサンプリングに合わせて、そのイネの根部を脱塩水に24時間浸し、1日の分泌量も求めた。その後、イネを葉・茎・根に分解し、熱乾燥(70℃)を行った後、それぞれの乾物重を秤量した。さらに生育調査も定期的に行った。 研究結果は、以下の通りである。実験期間を通して、生育・乾物重において品種間で有意な差があったが、全生育期間において、植物個体あたりの有機態炭素分泌量は70.87±6.94 mg plant-1であり、品種間における有意な差は認められなかった。植物体の全乾物重あたりの有機態炭素分泌量では1.03 ~9.75 mg g-1の範囲で品種間における有意な差があった。また24時間処理でも、根乾物重あたりの有機態炭素分泌量は品種間において有意な差があった。以上のことから、水稲根から分泌される有機態炭素量は、植物個体あたりよりも、乾物生産あたりの品種間における差異性が顕著であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度にイネの生育初期に根から分泌される有機態炭素量とその組成の品種間の差異性を明らかにすることを目的とした水耕栽培実験を行なうことを計画した。実際に、ジャポニカ(日本晴、コシヒカリ、アキタコマチ)、インディカ(タカナリ、Dular、IR72)、ハイブリッド(Shanyou63、Liangyoupei9)の異なる3種類8品種のイネを用いて、イネの発芽から分げつ期までの水耕栽培実験を行なった。全生育期間においては、植物個体あたりの有機態炭素分泌量の品種間差は認められなかったが、植物体の全乾物重あたりの有機態炭素分泌量では品種間差が有意であった。以上のことから、初年度の研究計画は、予定通りに達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究計画は、予定通りに達成したため、今後の研究の推進方策は、変更することがなく、計画通りに進めると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究計画は、予定通りに達成したため、次年度の研究費の使用計画は、変更することがなく、計画通りに進めると考えている。計画通りに進める
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Research Products
(1 results)