2011 Fiscal Year Research-status Report
飼料に添加されたセレンの農耕地生態系での動態と野菜による吸収
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23580093
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
木村 和彦 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10183302)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | セレン / 堆肥 / 有機セレン |
Research Abstract |
本研究の目的は,堆肥由来の有機態セレンの植物による吸収を調べることであるが,本年度は堆肥の代替としてセレン酵母を用いて,植物に吸収されるセレンを検討した。使用したセレン酵母はセレンを0.21%含有し,その形態はセレノメチオニンであると考えられるものである。 栽培実験は,大学圃場の土壌を使用し1/5000aワグネルポットを用いて行った。セレン酵母添加区はポット当たり3.6gの添加とした。植物はコマツナ(品種:双観)を用いた。ガラス室にて約2ヶ月の栽培の後,分析に供した。なお,生重および乾物重はコントロールとの差はなかった。植物の分析は,湿式分解後にセレンをICP-MSにて測定を行った。また,栽培後の土壌は全セレンを硝酸-可塩素酸-フッ化水素酸にて分解後に測定し,アルカリ抽出のセレンとしてTMAHにて抽出後に測定を行った。 植物のセレン濃度は,コントロール区が0.038 ppmだったのに対してセレン酵母区では1.16 ppmと約40倍になった。土壌の分析結果は,全セレンがコントロール区で1.6 ppm,セレン酵母区で4.0 ppmであった。一方,アルカリ抽出のセレンは有機態と考えられるが,コントロール区で0.147 ppm,セレン酵母区で1.33 ppmであった。投与したセレンの量に比べると吸収されたセレンの量は極めて少なかったが,セレンの吸収割合は土壌にもともと存在するものよりも極めて高いことがわかった。 当初の予定では,土壌中でのセレンの形態を調べることにしていたが,分析機器の導入が遅れその形態を調べることはできなかった。次年度以降に実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
セレンを混入した牛糞堆肥の作成を予定していたが,予定した農家を始め当地方では福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性セシウムに懸念があることから,平成23年度での作成を断念した。さらに,当初は予算の減額の可能性があることから,本研究の実施に必須である分析装置の購入が大幅に遅れた。これらの理由から,研究が予定通りに進まず遅れたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れた原因のひとつである放射性セシウムの影響は,牛の飼料の切り替えが進んだため問題がなくなったと考えられ,当初予定した堆肥の作成を進める。また,セレンの形態別分析器に新たにHPLCを加え,より詳細な形態別分析を行いながら研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
なお,次年度使用額が838,741円生じたが,放射性セシウムの影響により実験が一部遅れたことと分析装置の導入が遅れ,分析が予定通り進まなかったためである。 放射性セシウムの影響は回避できており,また分析装置も動作する状況に至っている。次年度はこの次年度使用額に当初予定した研究費を加えて,分析を着実に進めながら実験を実施する。
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