2013 Fiscal Year Annual Research Report
飼料に添加されたセレンの農耕地生態系での動態と野菜による吸収
Project/Area Number |
23580093
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
木村 和彦 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10183302)
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Keywords | セレン / 形態別分析 / 野菜 / セレノメチオニン / セレノシステイン / セレン酸 / 亜セレン酸 |
Research Abstract |
有機態と無機態のセレンの吸収の違いを,コマツナ,ほうれん草,コネギの3種類の野菜で検討を行った。栽培は1/5000aワグネルポットを用いて,有機態セレンとしてセレノメチオニンおよびセレノシステインをセレン化合物として含むセレン酵母,無機セレンとして亜セレン酸を用いて検討した。その結果,亜セレン酸がセレン酵母よりも植物の濃度を高める傾向があった。また,セレン投与量を土壌あたり0.1ppmおよび1.0ppm区を設けたが,セレン投与量が多いほど植物のセレン濃度を高めることがわかった。これは,3つの野菜について共通して認められた。 研究期間を通じて明らかになったことは,土壌に亜セレン酸で投与された場合は土壌中での変化はほとんどおきずに植物に吸収され,植物ではセレノメチオニンなどの有機態に一部変化するが,亜セレン酸やセレン酸としても存在することである。一方,有機態のセレンとしてセレノメチオニンやセレノシステインを含むものを投与した場合は,土壌中で形態変化を受け栽培後には殆ど検出されなかった。この時,植物中のセレンはセレノメチオニン,亜セレン酸およびセレン酸が検出された。すなわち,セレノシステインは速やかに無機化されて,植物中にはそのままの形態では吸収されなかっとみられる。また,セレノメチオニンが無機化されてから吸収されたのかセレノメチオニンのまま吸収されたのかは不明であるが,亜セレン酸投与でもセレノメチオニンが検出されることから,無機化されたセレンを植物が吸収後にセレノメチオニンに変化したと推定した。 このように,セレンの土壌での形態変化と植物による吸収を明らかにするという研究の目的の一つは達成した。セレンの毒性は形態により大きく異なることが知られており,本研究で明らかにしたような形態変化をさらに追跡することにより,安全でより健康に貢献できる作物生産に寄与できる。
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