• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

ヒ酸還元能を持つジオバクター属細菌による水田土壌からのヒ素溶出

Research Project

Project/Area Number 23580103
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

天知 誠吾  千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80323393)

Keywordsヒ素 / 水田 / 汚染 / 微生物 / Geobacter / Anaeromyxobacter
Research Abstract

1. Anaeromyxobacter sp. PSR-1株の生理生化学的解析:PSR-1株はAnaeromyxobacter dehalogenans 2CP-1株と近縁なヒ酸還元細菌で、ヒ酸の他に可溶性鉄、フェリハイドライト、硝酸、酸素、フマル酸などを電子受容体として利用できた。PSR-1株を酢酸を電子供与体、ヒ酸を唯一の電子受容体として生育させたところ、ヒ酸の還元に伴った生育が確認された。さらにヒ酸の還元が呼吸阻害剤で阻害されたことから、PSR-1株のヒ酸還元は以下の呼吸反応であることが明らかになった。また静止菌体実験よりPSR-1株はヒ酸存在下で生育したときに、より強いヒ酸還元能を発現することがわかった。
2. ヒ酸を吸着させたフェリハイドライトからのヒ素の溶出試験:フェリハイドライトにヒ酸を吸着させたものを調製した。これを唯一の電子授与体として含む培地に、前年度分離に成功したヒ酸還元細菌Geobacter sp. OR-1株やAnaeromyxobacter sp. PSR-1株などを接種した。OR-1株とPSR-1株では培養に伴い2価鉄と亜ヒ酸が溶出した。これに対し、ヒ酸還元能を持たない鉄還元細菌Geobacter metallireducens GS-15株やShewanella oneidensis MR-1株では2価鉄の溶出はあったものの、亜ヒ酸の溶出は認められなかった。以上のことから、鉄鉱物に吸着したヒ素の溶出には鉄還元能とヒ酸還元能の両方を持つことが重要と考えられた。
3. ヒ酸還元細菌Geobacter sp. OR-1株のドラフトゲノム解析を行った。詳細は解析中であるが、ゲノム中にヒ素の耐性と還元に関わる複数の遺伝子がまとまって存在し、”arsenic island”を形成していることがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

水田土壌から2種類の新規ヒ酸還元細菌の分離に成功し、これらの生理生化学的解析が終了した。またこれら細菌がヒ酸を吸着したフェリハイドライトや、滅菌水田土壌からヒ素を溶出できることを示した。XANES解析により、ヒ素の還元は鉄鉱物の固相で起こっていることが強く示唆され、ヒ素溶出モデルの構築が可能と考えられる。研究は当初の見込みよりもやや早く進行している。

Strategy for Future Research Activity

1. Geobacter sp. OR-1株のゲノム解析: OR-1株のヒ素関連遺伝子群(Ars, Acr, Arrタンパクをコードする)を詳細に解析し、G. lovleyiやG. metallireducensなどの近縁細菌と比較する。その他、中枢代謝系、酢酸を初めとする脂肪酸の資化経路、モリブデン因子生合成経路、cタイプシトクロームの種類とオーソログ探索、ピリ生合成経路などを行い、近縁のGeobacter属細菌と比較する。
2. Anaeromyxobacter sp. PSR-1株のドラフトゲノム解析、およびarrA遺伝子の特定:昨年度分離したA. dehalogenansに近縁なPSR-1株は、Anaeromyxobacter属で初めてのヒ酸還元細菌である。また、A. dehalogenansは環境中で活発に鉄還元を行う細菌として近年注目され、放射性物質のバイオレメディエーションにも利用が期待されている。本研究ではPSR-1株のヒ酸還元酵素遺伝子arrAのPCR増幅に成功しなかったが、これは本菌のarrAが既知のヒ酸還元細菌のものと異なるためと予想される。そこでPSR-1株のドラフトゲノムを解析し、arrAを特定すると共に、その類似遺伝子の環境中における分布と多様性について調査する。
3. OR-1株のヒ酸還元能の発現解析:静止菌体を用いた実験によりOR-1株のヒ酸還元能がヒ素存在下で誘導されるか確認する。またarrA遺伝子の発現解析をフマル酸またはヒ酸呼吸条件の菌体から抽出したRNAを用いて行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

以下の配分で使用する予定である。
物品費:100万円
旅費:21万円
人件費、謝金:0円
その他:0円

  • Research Products

    (4 results)

All 2012

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] ヒ酸還元能を有する鉄還元細菌Geobacter sp. OR-1株の生理的特質2012

    • Author(s)
      本間瑛理、天知誠吾
    • Organizer
      第18回ヒ素シンポジウム
    • Place of Presentation
      宮崎市・宮日ホール
    • Year and Date
      20121124-20121125
  • [Presentation] 異化的ヒ酸還元能を有するAnaeromyxobacter sp. PSR-1株の性質2012

    • Author(s)
      工藤桂太郎、天知誠吾
    • Organizer
      第18回ヒ素シンポジウム
    • Place of Presentation
      宮崎市・宮日ホール
    • Year and Date
      20121124-20121125
  • [Presentation] 国内土壌より分離された亜ヒ酸酸化細菌KGO-5株2012

    • Author(s)
      董 旦、天知誠吾
    • Organizer
      第18回ヒ素シンポジウム
    • Place of Presentation
      宮崎市・宮日ホール
    • Year and Date
      20121124-20121125
  • [Presentation] 水田土壌におけるヒ素の酸化および吸着に及ぼす微生物の影響2012

    • Author(s)
      董典涛、山口紀子、牧野知之、天知誠吾
    • Organizer
      第18回ヒ素シンポジウム
    • Place of Presentation
      宮崎市・宮日ホール
    • Year and Date
      20121124-20121125

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi