2012 Fiscal Year Research-status Report
耐熱性を有する新奇なD-アミノ酸オキシダーゼの探索と機能解析
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23580106
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 祥司 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90324011)
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Keywords | D-アミノ酸オキシダーゼ / 好熱菌 / 耐熱性酵素 / 生体触媒 / フラビン酵素 / オキシダーゼ / D-アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究では、高い耐熱性を有する新奇なD-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)を世界で初めて見いだし、その応用的利用へと展開するための基盤を築くことを目的としている。具体的には、種々の好熱性細菌および好熱性真菌においてDAOホモログ遺伝子を探索し、大腸菌で発現させたDAOホモログ遺伝子発現産物の耐熱性を含む酵素学的諸特性の解析を検討する。 現在までに、我々は好熱性細菌Rubrobacter xylanophilusにDAOホモログ遺伝子(RxDAO)を見いだした。また、好熱性細菌Saccharopolyspora thermophila NBRC16346においても既知のDAOに高い相同性を示す部分DNA断片を得ることに成功した。さらに、好熱性真菌Talaromyces thermophilusに2つのDAOホモログ遺伝子(TtDAO1, TtDAO2)を見いだしている。RxDAOに関しては、大腸菌におけるRxDAO遺伝子の大量発現系を構築し、精製したRxDAOの耐熱性などの酵素学的諸特性の解析から、RxDAOは既知のDAOよりも非常に高い耐熱性を有する新奇なDAOであることを明かにした。また、大腸菌で発現させたTtDAO1とTtDAO2遺伝子発現産物は、TtDAO1はD-グルタミン酸に対してのみ作用するD-グルタミン酸オキシダーゼ(TtDEO)と呼ぶべき新奇な酵素であることを明らかにした。一方、TtDAO2はD-メチオニンに高い活性を示すDAO(TtDAO)であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画書におけるH23年度とH24年度の研究計画では、好熱菌におけるDAOホモログ遺伝子の探索、その大腸菌における発現系の構築及び発現産物の精製および特徴解析を計画していた。 我々は現在までに、好熱性細菌R. xylanophilusにDAOホモログ遺伝子を見いだし、大腸菌における発現系を構築するとともに精製発現産物の解析から、この好熱菌のDAOホモログ遺伝子(RxDAO)が、本研究で目的としている既知のDAOの中で最も熱安定性の高いDAOをコードしていることを明らかにした。また、好熱性真菌においてもDAOホモログ遺伝子を探索しTtDAO1とTtDAO2と名付けたDAOホモログ遺伝子を見いだした。これら遺伝子の大腸菌における発現解析から、TtDAO1はD-グルタミン酸に対して高い特異性を示すD-グルタミン酸オキシダーゼ(TtDEO)と呼ぶべき新奇な酵素であることを明らかにした。一方、TtDAO2はD-メチオニンに高い活性を示すDAO(TtDAO)であることを明らかにした。さらに、好熱性細菌S. thermophilaにおいても既知のDAOと高い相同性を示す遺伝子断片を得ることに成功している。以上の結果より、本研究は研究計画に基づきおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高い耐熱性が見いだされたRxDAOに関しては、耐熱性のメカニズムを解析する予定である。具体的には、他のDAOの解析において、多量体化や補因子FADとの結合強度が耐熱性に関与していることが報告されていることから、RxDAOの四次構造およびFADとの結合強度と耐熱性の関係を解析する予定である。 好熱性細菌S. thermophilaのDAOホモログ遺伝子(StDAO)に関しては、得られたDNA断片の塩基配列情報をもとにして、全長遺伝子の単離を検討する。全長遺伝子が単離できた後は、大腸菌における発現系を構築し、その遺伝子産物の機能及び熱安定性などの酵素学的諸特性を解析する予定である。 好熱性真菌T. thermophiliusに見いだされたTtDAOとTtDEOに関しては、大腸菌で生産させたTtDAOとTtDEOを精製し、基質特異性や熱安定性などの酵素学的諸特性を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、H24年度に未使用であった研究費、当該年度に配分される研究費をあわせた研究費及び所属する大学から支給される究費を使用して本研究を実施する。また、当研究経費を使用して研究成果を公表する予定である。具体的には本研究申請書のH25年度の研究画に則して、消耗品に関しては、微生物培養や酵素の諸特性解析のための試薬や器具、酵素精製のためのカラム樹脂や試薬、DNAの塩基配列解析や組換えDNA実験などの遺伝子工学実験試薬に主に使用する予定である。旅費に関しては、本研究で得られた研究成果の発表と他研究グループの研究成果の情報収集のために、申請者及び指導学生の国内学会における発表や情報収集に使用する予定である。また、本研究で得られた研究成果を広く公表するため、国際雑誌への投稿を予定している。よって、これに関わる英文校正費用や投稿費用にも当研究費を使用する予定である。
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[Journal Article] Enzymatic assay for D-aspartic acid using D-aspartate oxidase and oxaloacetate decarboxylase2012
Author(s)
Kato, S., Ikuta, T., Hemmi, H., Takahashi, S., Kera, Y., Yoshimura, T.
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 76
Pages: 2150-2152
Peer Reviewed
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