2013 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性を有する新奇なD-アミノ酸オキシダーゼの探索と機能解析
Project/Area Number |
23580106
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 祥司 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90324011)
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Keywords | D-アミノ酸オキシダーゼ / 耐熱性酵素 / 好熱菌 / Rubrobacter xylanophilus / D-アミノ酸 |
Research Abstract |
D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)は,D-アミノ酸の検出・定量,医薬品原料の合成や神経・精神疾患の診断など広範囲な生物工学的応用が可能である。このことから,安定性の高いDAOが求められている。我々は,原核生物ゲノムデータベースの探索により,好熱菌にDAOホモログ遺伝子を見出し,高い安定性を有するDAOが存在する可能性を見出した。そこで本研究では,高い耐熱性を有する新奇なDAOを世界で初めて見いだし,その応用的利用へ展開するための基盤を築くことを目的とした。 最終の平成25年度では,既に組換えタンパク質として精製し,既知のDAOの中で最も高い安定性を有することが示された好熱菌Rubrobacter xylanophilus由来のDAO (RxDAO)の速度論解析や阻害剤感受性などの諸特性を解析した。他の多くのDAOは二量体として存在するが,RxDAOは単量体として存在した。RxDAOは,D-Valに高い分子活性(kcat)を示すものの,親和性(Km)はD-LeuやD-Ileよりも低いことから,触媒効率(kcat/Km)はD-Leuが最も高かった。また,RxDAOのD-アミノ酸に対する親和性は他のDAOよりも高かった。RxDAOは,DAO競争阻害剤により阻害されるが,DDO阻害剤により阻害されなかった。また,DAOを阻害することが知られているDTNB,ヨード酢酸やDEPCに対して耐性を示したが,PMSFにより活性が阻害されたことから,触媒活性におけるセリン残基の重要性が示唆された。 以上研究期間全体を通して得られた結果より,我々は好熱菌に世界で初めてDAOを見出すことに成功した。また,本好熱菌DAOが応用的に有用な非常に高い安定性を有するDAOであることを明らかにした。今後,好熱菌DAOの耐熱機構を明らかにするとともに,D-アミノ酸検出や物質生産への応用を検討する予定である。
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