2013 Fiscal Year Annual Research Report
エタノールに対する応答過程および醸造過程における酵母細胞内mRNA動態の解析
Project/Area Number |
23580113
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
井沢 真吾 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10273517)
|
Keywords | P-body / stress granule / mRNA flux / ポリソーム解析 / ストレス / 醸造 / 酵母 |
Research Abstract |
エタノールをはじめとする種々の醸造関連ストレス条件下で、不要不急のmRNAの翻訳が抑制されて細胞質中のP-bodyやstress granule (SG)などに隔離されることを明らかにした。また、ストレスへの対処に必要とされるmRNAの優先的・効率的な翻訳にP-bodyやSGが大きく寄与することを見出した。さらに、エタノールストレス条件下でも優先的に翻訳されるmRNAを同定し、その遺伝子の発現制御機構を解析した。 清酒醸造やワインのマロラクティック発酵、バイオエタノールの発酵工程における乳酸菌汚染などとも深く関連する乳酸ストレスが翻訳抑制とP-bodyの形成を速やかかつ可逆的に誘導する一方で、SGの形成は誘導しないことを見出した。他の代表的な有機酸である酢酸やプロピオン酸では同様の現象は誘導されなかった。また、乳酸耐性獲得の上で重要な遺伝子を複数同定した。 木質草本系バイオマスの糖化前処理によって生じる発酵阻害物質バニリン、フルフラール、5-ヒドロキシメチルフルフラールなどがbulkの翻訳抑制やmRNP granuleの形成誘導、酸化的ストレス、ミトコンドリアの断片化を誘導することを見出した。また、共同研究を通じてバニリンの細胞内作用点を検討した。 高濃度エタノールストレス存在下でも翻訳が抑制されず優先的に翻訳されているmRNAを、ポリソーム解析やマイクロアレイ解析などを通じて探索し、ストレス下でも優先的に転写・翻訳されている遺伝子をqRT-PCRやWesternblt解析により複数同定することに成功した。
|