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2011 Fiscal Year Research-status Report

植物共生メタノール資化性細菌の葉上における生存戦略に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23580122
Research InstitutionOkayama University of Science

Principal Investigator

三井 亮司  岡山理科大学, 理学部, 准教授 (60319936)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords植物共生微生物 / メチロトローフ細菌 / Methylobacterium / PQQ / 二酸化炭素 / Phyllosphere / Rhizospherea
Research Abstract

植物と微生物は古くより共生関係を構築しているものが知られる。例えば豆科植物の根圏に窒素源供給する根粒菌などが知られるが、近年では根圏だけに限らず、葉上においても優先的に生育している菌群の存在が報告され注目されている。 本研究課題においては植物葉上において優占種となっているメチロトローフ細菌に着目した。メチロトローフ細菌はメタノールを炭素源として生育することができる微生物の総称で植物葉上にはPPFM(Pink Pigment Facultative Methylotroph)と呼ばれるメチロトローフ細菌が優性種となっていることが報告されている。この報告では植物葉上での菌叢のゲノミクス解析やプロテオミクス解析を行い、メチロトローフ由来のものが多数を占めていることが示されている(Knief C. et al, ISME Journal 2011)。このPPFMと植物との共生関係を媒介する物質を推定し、菌株内でのこれらの物質に対する遺伝子の発現応答を明らかにすることを目的としている。現在私達は、上記の共生関係を媒介すると考えられる物質を植物側からはメタノール、ポリアミン類、PPFM側からは植物ホルモン、PQQなどを対象として考えている。また、植物の光合成では二酸化炭素が有用な役割を果たすことは周知であるが、植物に共生する微生物群においても二酸化炭素が生育に大きな影響を与えていることも明らかになってきた。また、土壌中に広く存在し、植物生育への影響もいわれる希土類(Rare Earth Elements:REE)と微生物の関係も対象としている。本研究では二酸化炭素およびREEが共生関係に与える影響も検討している。 これらの知見から将来的に生育促進や病原性微生物感染の防御などの応用面にも利用されることが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題においては共生に関与することが推定されるいくつかの因子について微生物側から検討を行うことを目的としている。初年度においては二酸化炭素・ポリアミン・希土類(主にランタン)に関して検討を行った。 二酸化炭素:植物と共生関係にあると考えられる3株を使用し、生育との関係や代謝系から推定される酵素の誘導機構などを明らかにすることができた。根圏ではCalvinサイクルが生育の初期に重要な役割を果たしていることが推測された。これらの成果について本年度学会発表を行い、また論文投稿を準備している。 ポリアミン:葉上でのメタノールは炭素源として様々な検討がなされてきたが、窒素源について明確な実験結果は報告されていない。我々は植物において生理活性をもち、葉上にも放出されていると考えられるポリアミンが共生に関与する物質ではないかと考え検討を行っている。現在PPFMの窒素源として機能することが明らかになりつつあり、新たな知見となると期待している。 PQQ:PPFMにとってメタノール代謝に関わる重要な補酵素であるにもかかわらず、細胞外に漏出される物質であり、植物に対する微生物側からのアプローチに関与するのではないかと考えている。当研究室で保有する植物由来メチロトローフ細菌のうち約100株程度について生産性を調べたところ量差はあるもののすべてのPPFMにおいて菌体外に漏出が確認された。葉上での生存戦略に重要な役割を担っている可能性があり、高生産株について植物に対する影響などを検討している。 希土類(主としてLa):葉上でのメタノールの代謝に重要な役割を果たすと考えており、土壌中に低い濃度で広く存在し、植物葉上に提示されていることが報告されている。研究協力者の中川准教授(岐阜大)谷助教(岡山大)と共にLaが生育に及ぼす影響を遺伝子破壊株を用いて明らかにし、その内容を現在論文として投稿中である。

Strategy for Future Research Activity

2年目においては当初の予定どおり、現在までの検討を発展させるとともに、植物との相互作用を評価する。ポリアミンについては昨年度に本研究課題において導入した蛍光分光光度計をもちいて定量方法を確立する。また、これらの共生に関わると考えられる物質の細胞内への透過、および代謝に関与するPPFMおよび根粒菌の遺伝子を欠損させた変異株を用いて植物への定着を評価する系を構築する。また、H24年度においては研究成果を国際学会(Gordon conference)において発表を計画している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

計画申請書に記載した消耗品の購入に使用する。内訳としては遺伝子工学や微生物・植物の培養基およびプラスチック消耗品、また国内での成果発表における学会出張旅費として一部計上する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011 Other

All Presentation (3 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Rhodosporidium paludigenum VMA4の生産するバニリルマンデル酸脱水素酵素の解析と神経 芽細胞腫スクリーニングへの応用2012

    • Author(s)
      三井亮司 河野和也 堀内功典 藤井正 福士勝 田中三男
    • Organizer
      日本農芸化学会
    • Place of Presentation
      京都女子大学
    • Year and Date
      2012年3月24日
  • [Presentation] メチロトローフ細菌Methylobacterium extorquensのレアアース依存的メタノール代謝におけるxoxFの機能的役割2012

    • Author(s)
      田代晋也、三井亮司 谷明生 佐々健太郎 岩間 智徳 早川享志 中川智行 河合啓一
    • Organizer
      日本農芸化学会
    • Place of Presentation
      京都女子大学
    • Year and Date
      2012-03-25
  • [Presentation] 通性メチロトローフ細菌Acidomonas methanolica MB58の生育に及ぼす二酸化炭素の影響2011

    • Author(s)
      三井亮司 片山寛子 田中三男
    • Organizer
      日本生物工学会
    • Place of Presentation
      東京農工大学
    • Year and Date
      2011-09-26
  • [Remarks] 日本農芸化学会より2012年大会トピックス賞を受賞。

URL: 

Published: 2013-07-10  

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