2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊原 さよ子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80292788)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞骨格 / 重合 |
Research Abstract |
細胞は外界からの様々な刺激に応じて適切に形態を変化させる。SWAP-70は刺激依存的な細胞膜、アクチンの構造変化に関与することで、形態変化に重要な役割を果たす分子の一つである。最近、このSWAP-70の新たな機能として刺激依存的に重合活性を持つ可能性を見出したため、本研究ではSWAP-70の重合能に焦点をあて、刺激依存的細胞形態制御における新たな分子機構を明らかすることを目的とした。本年度はまず、重合を検出する系の確立を目指した。in vitroでの重合の検出法として、大腸菌を用いて調製した組換え体精製タンパク質SWAP-70を低塩濃度条件下におき、抗体による蛍光免疫染色を行ったところ、蛍光顕微鏡下で重合体と思われる構造を観察することができた。一方、in vivoでの重合の検出法としては、これまでSWAP-70の特異的な部位を認識する抗体による染色にのみ頼っていたが、この方法では生細胞における重合の様子を観察できないという欠点があった。しかし検討を重ねた結果、発現量が適切であればGFP-SWAP-70を細胞に発現させることにより生細胞においても重合体と予想される繊維状構造を検出できることが明らかになった。そこで、SWAP-70欠損マウス繊維芽細胞にGFP-SWAP-70を導入し、野生型細胞におけるSWAP-70と同レベルの発現を示す安定発現細胞株を取得した。この細胞は刺激依存的な繊維構造の観察が可能であったことから、今後SWAP-70の重合に関わる様々な解析に利用できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重合検出系の確立に際して、GFP-SWAP-70の安定発現細胞株を取得するにあたり、SWAP-70欠損マウス繊維芽細胞への遺伝子導入が通常の細胞への導入と較べて著しく効率が悪かった。最終的には遺伝子導入法を改善することでこの問題を克服できたが、この対処に時間がかかった事が当初の予定よりやや遅れた原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
SWAP-70の刺激依存的な重合体形成がどのような機構によって起きるのかについて、初年度に確立した重合検出系を用いて解析を行う。In vivoの系でシグナル伝達分子の阻害剤や様々なSWAP-70の変異体を用いた解析を行うことにより、重合に必要な上流シグナル、SWAP-70の領域を明らかにする。また得られた知見をふまえてin vitroの系での再構成を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養のための血清、培地等基本的試薬、消耗品類、分子生物学的実験・生化学実験に必要な試薬、消耗品類、機器維持費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)