2011 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナのフェノール性異物配糖体の輸送機構の解析
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23580132
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田口 悟朗 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70252070)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 植物の異物代謝 / 配糖化酵素 / マロニル化酵素 / 物質輸送 / 蓄積機構 / 配糖体放出 |
Research Abstract |
これまでに、シロイヌナズナのマロニル化酵素AtPMAaT1がフェノール性異物の代謝に関わることを明らかにした。本研究では、まず、AtPMaT1と同様の酵素活性を示したマロニル化酵素AtPMaT2について、その酵素学的な解析を行い、AtPMaT1と比較してより幅広い基質に対してマロニル化活性を示すことを明らかにした。また、AtPMaT2遺伝子破壊株を入手して自家交配によるホモ個体の取得を試みたが、3回の自家交配を繰返しても得ることができなかったため、遺伝子発現抑制株および強発現株を用いた機能解析を行うこととしてその作出を行い、それぞれ組換え株を得た。また、AtPMaT1破壊株に対するAtPMaT2強発現株(相補株)、および発現抑制株の作出を行った。これらの変異株の代謝比較により、異物代謝反応と輸送・蓄積機構との関連性がより明確になると期待される。 輸送機構の解析においては、シロイヌナズナの根の培養方法を確立し、膜ベシクルを用いた輸送実験系の構築を進めたが、詳細な条件の確立には至っていない。一方、物質輸送に関わることが期待されたシロイヌナズナの根特異的に発現する輸送体遺伝子の破壊株13種の種子を入手して、それぞれの幼植物体を用いたナフトール投与実験を行い、輸送体欠損によるナフトール代謝蓄積に対する影響の有無を調査した。その結果、テストした株の中にナフトール代謝物の蓄積に影響が認められた変異体が存在した。現在、ナフトール代謝物の輸送活性について、阻害剤実験による検討を進めている。 同時に、種々の植物に対するナフトール投与試験を行い、マロニル配糖体以外としてナフトールを蓄積した植物を確認したため、その修飾機構についても解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物の異物代謝における修飾反応と代謝物の輸送機構の関係性について明らかにする上で重要なマロニル化酵素について、反応性の解析を行うとともに、種々の組換え株を作出した。今後、マロニル化酵素の異物代謝/通常代謝に与える影響について解析を行う。輸送系の解析では、膜ベシクルによる輸送実験系の構築を試みるとともに、予定より先行して輸送体破壊株を取得して、解析を進めている。以上から、おおむね予定通りに進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね予定通りに研究を推進する。 まずは、膜ベシクルを用いた輸送実験条件の確立を優先的に行う。また、23年度に先行して解析を行った輸送体遺伝子破壊株について、ナフトールの輸送蓄積に影響が認められた株について、その詳細な機能解析を行う。それと同時に、阻害剤を用いた輸送試験を進め、その情報を元に上記以外の輸送体の候補を絞り込み、遺伝子破壊株の取得とその解析を行う。 さらに、マロニル化配糖体以外のナフトール代謝が認められた植物について、その酵素活性の検出を進めるとともに、遺伝子の取得を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画の通り、研究試薬・消耗品を中心として使用するほか、研究発表の旅費等として使用する。
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Research Products
(2 results)