2013 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナのフェノール性異物配糖体の輸送機構の解析
Project/Area Number |
23580132
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田口 悟朗 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70252070)
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Keywords | 植物の異物代謝 / 配糖化酵素 / マロニル化酵素 / 配糖体放出 / 物質輸送 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究は、シロイヌナズナの解毒代謝において、フェノール性異物(ナフトール)が配糖化およびマロニル化を受けて細胞内に蓄積される一方、一部が配糖体として外部に放出される現象の代謝反応・輸送機構の解明を目的とした。 まず、異物代謝に関与するマロニル化酵素AtPMaT1のホモログであるAtPMaT2を解析した。AtPMaT2は、AtPMaT1と比べてより幅広い基質にマロニル化活性を示した。AtPMaT2の高発現はAtPMaT1遺伝子破壊株のマロニル化代謝を相補したことから、AtPMaT2は、AtPMaT1と同様に異物代謝能力を持つことが明らかになった。しかし、AtPMaT2を破壊したシロイヌナズナは生育できなかったことから、本来は生育に必須な何らかの機能を担うことが示唆された。 次に、異物代謝に関与することが報告されている配糖化酵素UGT72B1がナフトールに対する配糖化活性を示したことから、シロイヌナズナのUGT72B1破壊株にナフトールを投与した。その結果、破壊株では配糖体が放出されなくなった一方で、細胞内のナフトール配糖体およびマロニル化物の蓄積量は野生株と同等であった。以上から、UGT72B1は細胞外に放出される配糖体の代謝に関与し、細胞内で蓄積される配糖体の代謝は別の酵素によることが示唆され、同じ物質の同じ修飾反応による解毒代謝にいくつかの経路が存在するという興味深い現象が明らかになった。 これら代謝物の輸送について、各種輸送阻害剤による検討と、根で特異的に発現する輸送体遺伝子の破壊株に対する投与実験による解析を行った結果、MATEトランスポーターであるRHS2破壊株において、野生株と比較して有意に配糖体の放出が減少したことから、この輸送体が配糖体の放出に寄与することが示唆された。 さらに、配糖体の放出現象を応用した物質変換系の可能性について検討した。
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Research Products
(3 results)