2012 Fiscal Year Research-status Report
創薬原料として有効なマテ茶成分の固定化麹触媒による効率的単離法の開発
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23580135
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
足立 収生 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (20027189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤壁 善彦 山口大学, 農学部, 教授 (20274186)
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Keywords | マテ茶有効成分 / 固定化麹触媒法 / アルゼンチン / クロロゲン酸 / クロロゲン酸水解酵素 |
Research Abstract |
これまでの研究から、マテ茶から有用物質の抽出において、麹触媒法の実施で最も重要な点として、ポリフェノール酸化酵素の制御にあることが判明した。そこで、糸状菌Asp. soyae の生菌糸体を熱処理して、クロロゲン酸加水分解酵素(CHase)活性を損なうことなく、ポリフェノール酸化酵素活性を選択的に制御する方法を考えた。本研究課題の成果が食品や医薬品原料として利用される背景を考慮すれば、市販されている有機合成化合物である種々な薬剤を酵素阻害剤としての使用は適当でないことは明白である。合成薬剤の使用は大量の原料処理の観点からも不適等である。 CHaseは65度で30分の熱処理に耐えることが予備調査で明らかになっていた。それよりも低温側での熱処理ではCHase活性は安定であるので、さらに低温域でのポリフェノール酸化酵素活性の失活条件を調査した。その結果、培養後の糸状菌を直接40度で30分間熱処理することで望ましい結果となった。ポリフェノール酸化酵素が活性な状態では、酵素反応液はただちに黒変するのに対して、ポリフェノール酸化酵素活性を失活・制御することで、酵素反応液の黒化は見られなかった。酵素反応液をHPLC、TLC、及びキナ酸酸化活性などによって調査して、ポリフェノール酸化酵素活性が完全に制御されていることを確認した。 麹触媒法の実施にあたり、二つの可能性を試験した。(1)熱処理した菌糸体をカラムに充填して、カラム下部から上部へマテ茶抽出液を送液する方法と、(2)マテ茶葉に糸状菌の胞子を発芽させ、40度で熱処理したのちCHaseを好適に作用させるために、CHaseの最適温度域(50-55度)で作用させてキナ酸とカフェ酸に分ける。方法(1)の実施は技術的に容易で期待される結果も予測できるが、マテ茶を低廉に処理して抽出物の収量を増加させるには、方法(2)が優れていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請書に記載の通り、研究の糸口は2009年の第1回日ー亜ワークショップにあった。翌2010年に研究代表者が学振特定国派遣研究者として亜国へ派遣され、本研究の基礎的情報を得ていた。ラプラタ大学発酵工学研究所、亜国立マテ茶研究所はじめ亜国政府機関の理解と支援が得られ、本研究が科研費基盤建久(C)に採択されたことは幸運であった。本研究が本格的に進展するのは2011年度からであるが、ラプラタ大学のほかにマテ茶の主産地にあるミッショネス大学の研究者からも協力が得られることとなった。亜国政府から大量のマテ茶試料が山口大学の研究室へ送られてきて、現地とメール交信を行うことで日本と亜国と並行して研究を進めることができるようになった。 上記のような研究の進展によって、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。今後の予定は以下に述べるところであるが、本研究成果の実用化への技術移転の可能性を検証する。2014年にウルグアイで開催の、第6回国際マテ茶会議で研究成果の発表が約束されている。
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Strategy for Future Research Activity |
麹触媒法の実施において二つの可能性を試験した。(1)熱処理した菌糸体カラム法と、(2)マテ茶葉に糸状菌の胞子を発芽させたのち40度で熱処理したのち、CHaseの最適温度域(50-55度)で作用させてキナ酸とカフェ酸に分ける。方法(1)の実施は容易で期待される結果も予測できるが、低コストでのマテ茶の処理量と抽出物の収量の増加は、方法(2)の方が優れていた。そこで、方法(2)を産業化をめざした実用化試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた外国出張旅費が外国学会経由を利用した為、安くなり未使用額が発生した。 平成24年度未使用額の615,702円と平成25年度との合算にて外国出張経費として執行予定
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Research Products
(7 results)