2012 Fiscal Year Research-status Report
生物発光基質アナログによる発光タンパク質の持続的発光の実現
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23580147
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久世 雅樹 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40335013)
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Keywords | 酵素 / 生体分子 / 生理活性 / 蛋白質 / 有機化学 |
Research Abstract |
発光タンパク質の発光量は蛍光タンパク質に比べて小さく、このことは発光タンパク質をイメージング手段として利用する際の大きな問題点となっている。発光タンパク質には、基質がタンパク質に結合したクロモフォア(発光を司る化学構造)があり、これが発光後酸化物となる。この酸化物の遊離を促しかつ発光効率の良い基質誘導体の創製を本研究では目指している。 本研究で取り扱っている生物発光基質「デヒドロセレンテラジン(DCL)」は蛍光を示さないが、分子修飾により蛍光物質としての機能を付与することができれば、生体機能分子のモニタリングが可能となる。そこで、ベンゾチアゾール(BZT)を導入したDCL誘導体の化学合成を目的とした。 DCL誘導体合成には様々な合成経路があるので、すべての方法について検討した結果、以下の合成経路を採用することにした。まず、市販のBZTアルデヒドとグリシンからピルビン酸誘導体へと導き、次いで、セレンテラミンと縮合してデヒドロアミノ酸を得た。最後に無水酢酸で処理したところ、BZTが導入されたDCL誘導体が合成できた。これを亜鉛イオンで処理すると、分子内で錯体を形成して緑色の蛍光を示し、蛍光性DCL誘導体の合成を達成した。 このDCL誘導体は発光タンパク質に限らず、生体分子におけるシステイン残基などのチオール化合物に選択的に結合する特徴があるので、生細胞内における機能分子のモニタリングが可能になるという意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
持続的な発効には効率的に発光する基質誘導体が不可欠である。本年度合成を完了した誘導体は新しい蛍光特性の機能を併せ持つ持続的発光の実現に重要な基質となる。この合成を完了したことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成を完了したクロモフォア酸化物モデル、そして蛍光性デヒドロセレンテラジン類を利用して、発光タンパク質の発光機構を詳細に解明し、発光効率の向上と、持続的発光の実現についてさらに検討を重ねる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費のうち次年度使用分は、年度末に購入する消耗品費として支出する計画である。次年度以降における上記の研究を推進するために、有機合成用反応剤の購入に消耗品費の使用を計画している。
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[Journal Article] First synthesis of decaturin C, an antiinsectant diterpenoid isolated from Penicillium thiersii.2012
Author(s)
Nakazaki, K., Hayashi, K., Hosoe, S., Tashiro, T., Kuse, M., and Takikawa, H.
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: 68
Pages: 9029-9034
DOI
Peer Reviewed
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