2011 Fiscal Year Research-status Report
コウモリカズラ培養根におけるストリゴール生合成の解明
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23580149
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 正治 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60303898)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / GR24 / コウモリカズラ / ストリゴール / フロリドン / 培養根 |
Research Abstract |
コウモリカズラ培養根は(+)-ストリゴール(SG)を高生産することから、ストリゴラクトン(SL)類の生合成研究には最適な植物材料である。本研究では、コウモリカズラ培養根におけるストリゴール生合成を解明することを目的とする。(1)生合成を研究するためのリソースの整備1)重水素標識化合物の合成: 標識体として(±)-[6’-D]-5-deoxystrigolを合成した。2)SL生合成の誘導/阻害条件の検討: 培養根によるSL生合成を薬剤などで阻害することにより生合成中間体の探索を行なうため、カロテノイド生合成阻害剤によるSG生合成阻害を検討した結果、フロリドンが生合成を強く阻害した。また、中間体の増加や生合成遺伝子発現の変動を引き起こす条件を探索するため、SG生合成を誘導あるいは抑制する薬剤(植物ホルモンなど)や培養条件(低リン/窒素など)を検討した結果、培地リン酸濃度が高いと抑制され、低いと生合成が誘導することを確認した。3)SL分析法の確立: UPLC-ESI-MS分析によりSGなど各種SL類の分析法を確立した。(2)GR24の代謝変換物の解析コウモリカズラ培養根に合成SLであるGR24を投与し代謝物をLC-MS/MSで分析した結果、既知の4-hydroxy GR24ではない未知の代謝物へ変換されることが明らかとなった。MS解析から代謝物はA環部分のいずれかの炭素が水酸化されている構造未知の化合物であると推定された。5, 6, 7, 8 位のいずれかが水酸化されたGR24を有機合成し、LC-MS/MS を用いて保持時間の挙動を比較することで構造解析した結果、培養根によるGR24代謝物は 7-hydroxy GR24であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SL生合成を研究するためのリソース整備(重水素標識化合物の合成、分析法の確立)は順調に進めることができた。また、培養根によるGR24代謝物は 7-hydroxy GR24 であることを合成標品との比較分析により決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)SGの前駆体と推定される5-デオキシストリゴールの重水素標識体を培養根へ投与し、SGへと代謝変換されるかどうかLC-MS分析により検討する。(2)コウモリカズラ培養根からSG生合成に関わる候補遺伝子としてCCD7, CCD8, D27, CYP711のクローニングを行うとともに、5位水酸化酵素の候補遺伝子の探索を行う。(3)SL生合成中間体の探索をLC-MS分析により進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)SG生合成前駆体の標識化合物を調製するための13-C化合物を購入する予定である。(2)RACE-PCRのためのキット、DNAシークエンス試薬、発現ベクターなどを購入する。(3)LC-MS分析用のカラムを購入する。
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Research Products
(8 results)