2012 Fiscal Year Research-status Report
コウモリカズラ培養根におけるストリゴール生合成の解明
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23580149
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 正治 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60303898)
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Keywords | ストライゴラクトン / コウモリカズラ / 5-deoxystrigol / 重水素標識 |
Research Abstract |
コウモリカズラ培養根は(+)-ストリゴール(SG)を高生産することから、ストリゴラクトン(SL)類の生合成研究には最適な植物材料である。本研究では、コウモリカズラ培養根におけるストリゴール生合成を解明することを目的とする。 (1)コウモリカズラ培養根を用いたストライゴラクトンの代謝実験 H23年度の調製したストライゴラクトンの重水素標識体(±)-[6’-D]-5-deoxystrigol(5DS)をコウモリカズラ培養根の培地中に投与し、24時間インキュベートしたのち培地と根組織を回収した。溶媒抽出およびシリカゲルカラムを用いてSL画分を精製し、LC-MS/MSを用いてStrigolの同位体比、および標識5DSが水酸化を受けたと考えられる化合物を分析した。その結果、標識5DSを投与した培養根と未処理サンプルのStrigolの同位体比に変化は見られず、標識5DSからstrigolへの変換を確認することができなかった。一方、標識5DSが水酸化を受けたと考えられる複数のstrigol異性体のピークが検出された。1つは8-epi-sorgomolと保持時間が一致した。このことからコウモリカズラ培養根は、5DSをstrigolの直sつの生合成前駆体とはしないものの、5DSの10位をはじめとする複数の位置を水酸化する活性を示すことが示唆された。 (2)コウモリカズラ培養根におけるストライゴラクトン生合成遺伝子の発現様式の解析 コウモリカズラ培養根からstrigol生合成に関わる候補遺伝子としてCCD7, CCD8, D27, CYP711の全長cDNAをクローニングした。得られた遺伝子配列を元にReal-timePCR用のプライマーを合成し、成長段階およびリン酸栄養条件における各遺伝子の発現量を解析した結果、リン酸投与によりStrigol量は減少し、生合成遺伝子の発現量も減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成した重水素標識体(±)-[6’-D]-5-deoxystrigol(5DS)を用いて5DS代謝実験を行い、コウモリカズラ培養根では5DSはstrigolへ変換されないことを明らかとした。また、5DS生合成の候補遺伝子をコウモリカズラ培養根からクローニングすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)コウモリカズラ以外の植物を用いて標識5DSの代謝実験を行う。具体的には、5DSの代謝物と推定されるsorgomolやorobancholを生産することが知られているソルガムやササゲなどを用いる予定である。 (2)コウモリカズラ由来の生合成遺伝子を用いて、ストライゴラクトン生合成中間体の酵素合成を行う。具体的にはD27, CCD7, CCD8を用いてcarlactoneを酵素合成する。続いて、CYP711Aを用いてcarlaconeの酸化的代謝を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
重水素標識化合物を分析するため、LCMSを多用する。そこで、分析用の溶媒や備品を購入する。 また、生合成遺伝子の組換え酵素を作成する目的で、分子生物学用の試薬やキットを購入する。 また、植物化学調節学会や農芸化学会、植物生理学会などに積極的に参加し、研究成果を発表する。
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Research Products
(3 results)