2012 Fiscal Year Research-status Report
線虫の休眠・寿命を制御するインスリン様ペプチドの統合的機能解析
Project/Area Number |
23580150
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河野 強 鳥取大学, 農学部, 教授 (50270567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 崇 鳥取大学, 農学部, 助教 (30585584)
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Keywords | 休眠 / 寿命 / インスリン様分子 / 線虫 / ペプチドホルモン |
Research Abstract |
個々のインスリン様分子の機能(アゴニストかアンタゴニストか)を明確にするために、初代培養細胞を用いた。インスリン様シグナルの下流に位置する転写因子DAF-16にGFPを連結したタンパクを恒常的に発現する線虫を入手し、初代培養細胞を調製した。この細胞ではインスリン様シグナルがオフとなっているため、DAF-16::GFPは核内に存在した。ここに遺伝子工学的手法により調製した線虫のインスリン様分子(アゴニスト)を加え、インスリン様シグナルを亢進することにより、DAF-16::GFPを細胞質に移行させることに成功した。これによりインスリン様分子のうちアゴニストを評価することが可能になった。 先年度の研究で発見した線虫の休眠・寿命を制御する新たなインスリン様遺伝子INS-35の詳細な発現パターン解析を行った。レポーター遺伝子ins-35p::ins-35::gfpならびにins35p::rfpを導入した遺伝仕組みかあえ線虫を作出し、各生育ステージならびに休眠前後の発現パターン解析を行った。ins-35p::ins-35::gfpは産生・分泌を含めてペプチドの挙動を示し、ins35p::rfpはペプチドの産生を示す。 INS-35は主に腸で産生され、休眠前後での産生量には変動がなかった。ところが、産生されたINS-35は休眠時には腸管に蓄積していた。さらに、休眠期には経時的に分解されていた。このことから、1.休眠を抑制し通常の生育を維持させるINS-35は定常的に腸で産生され、腸から体腔へ分泌される。2.一方、休眠前には産生されたINS-35腸管に分泌され、通常の生育を維持できない。3.さらに、腸管に蓄積したINS-35は分解されアミノ酸となり再利用される、と推論した。すなわち、ペプチドホルモンの新たなシグナル制御機構を提唱することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度ではインスリン様分子の機能を細胞レベルで検証する系の構築に成功した。これにより個体レベルでは機能解析が困難な(個体には多種多様のインスリン様分子が混在する)インスリン様分子の機能解析が可能となった。 また、平成23年度に発見したインスリン様ペプチドINS-35の詳細な解析を行い、新たなペプチドホルモン制御機構を提唱するに至った。 以上の理由により、「おおむね惇緒うに進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では初代培養細胞を用いて、アンタゴニストとして機能するインスリン様分子の評価系を構築する。これにより、アゴニスト・アンタゴニスト双方を評価することが可能となる。 また、線虫の休眠・寿命を制御する新たなインスリン様分を探索し、詳細な機能解析・発現パターン解析等を行う。他のインスリン様分子との比較を行うことにより、インスリン様分子による休眠・寿命制御機構の全容解明に繋がるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では消耗品の節約により33,898円の繰り越し金を捻出し、平成25年度の予算に組み込むことにした。平成25年度の研究を遂行するに際しては、消耗品の購入のみで十分であると考えられる。初代培養細胞の調製に必要な経費、遺伝子工学用試薬の購入に宛がう経費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Vitamin B12 deficiency in Caenorhabditis elegans results in loss of fertility, extended life cycle, and reduced lifespan2013
Author(s)
Bito, T., Matsunaga, Y., Yabuta, Y., Kawano, T., Watanabe, F.
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Journal Title
FEBS OpenBio
Volume: 3
Pages: 112-117
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genes down-regulated in spaceflight are involved in the control of longevity in Caenorhabditis elegans.2012
Author(s)
Honda, Y., Higashibara, A., Matsunaga, Y., Yonezawa, Y., Kawano, T., Higashitani, A., Kuriyama, K., Shimazu, T., Fukui, K., Tanaka, M., Szewczyk, J N., Ishioka, N., and Honda, S
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 2
Pages: 487-494
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Physiological function, expression pattern, and transcriptional regulation of a Caenorhabditis elegans insulin-like peptide, INS-182012
Author(s)
Matsunaga, Y., Gengyo-Ando, K.,,Mitani, S., Iwasaki, T., and Kawano T.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 423
Pages: 478-483
DOI
Peer Reviewed
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