2013 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目昆虫絹糸腺由来植物誘導防衛抑制因子の同定とその生態学的意義の解明
Project/Area Number |
23580151
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松井 健二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90199729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 理香 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (90597725)
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | みどりの香り / 絹糸腺 / 脂肪酸ヒドロペルオキシド脱水酵素 |
Research Abstract |
本年度はカイコ絹糸腺からみどりの香り生成抑制因子を完全精製し、TOF-MS分析によりその部分構造を明らかにした。そのアミノ酸配列情報に基づき、カイコゲノムデーターベースで検索することで本因子をコードする遺伝子を特定した。この遺伝子は絹糸腺と消化腺、皮膚で発現していることが知られていたが、機能は未知であった。そこで、本遺伝子を共同研究者の山口大学農学部小林教授に依頼して昆虫細胞発現系で発現したところ、予想通りのみどりの香り生成抑制活性が認められた。ついで、本因子の性状を明らかにするため種々の酵素化学的解析を進めた。基質特異性の検討ではリノール酸自動酸化物のうち、13-ヒドロペルオキシドのみが基質となった。過酸化水素は基質ではなかった。このことから本因子はみどりの香り生成抑制に強く関連していることが示唆された。一方、本因子の特徴として本因子の反応時に自殺基質的な失活が認められた。この失活は脂溶性、水溶性抗酸化剤で抑制されることはなく、ラジカル分子の関与を証明できなかった。 また、この遺伝子を他の生物で検索したところ、相同性の高い遺伝子は見いだされず、鱗翅目昆虫に特異的な因子であることが分かった。
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