2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580153
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
久城 哲夫 明治大学, 農学部, 准教授 (80373299)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メロテルペノイド / 糸状菌 / テルペン環化酵素 / ポリケタイド / 生合成 |
Research Abstract |
糸状菌の生産するメロテルペノイドには、顕著なコレステロール低下作用を有するピリピロペンや、タンパクのファルネシル化阻害作用を有するアンドラスチンが存在し、医薬品資源として大変重要な化合物である。糸状菌Aspergillus fumigatusの生産するメロテルペノイド、ピリピロペンの生合成遺伝子が同定され、この中にはトランスポーター様新規テルペン環化酵素(Pyr4)が含まれていた。そこで、Pyr4の詳細な構造機能解析を目的として部位特異的変異導入による活性残基の同定を試みた。類似した酵素間で保存された酸性アミノ酸残基に注目したところ、Glu63とAsp218が触媒残基であることが強く示唆された。しかしながら、Glu102とGlu232では変異導入を行っても活性を保持していたことから活性残基ではないと推測された。さらに、反応終結の脱プロトン化に関わると考えられる保存されたHis残基(His105、His128)をAlaとPheに置換したところ、H105FとH128Aでは活性を消失したものの、H105AとH128Fでは活性を保持していたことから、環化活性に何らかの影響はあるものの、必須の残基ではないと推測された。 次に、A. fumigatusとFusarium graminearumのゲノム中に見出されたメロテルペノイド生合成遺伝子クラスターの解析を行うべく、クラスター内に見出されたゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素(GGPS)(Afu8g02400)、ポリケタイド合成酵素(PKS)(Afu8g02350)、プレニル基転移酵素(PT)遺伝子(Afu8g02410)のクローニングと発現プラスミドの構築を行った。GGPS遺伝子が存在していることから、ポリケタイド部分にジテルペンユニットであるゲラニルゲラニル基が付加し、環化した化合物であると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規テルペン環化酵素(Pyr4)に関して、部位特異的変異導入により活性に重要な残基と必須でない残基を判別することができ、いまだ三次元構造が全く明らかでない本酵素に関して、活性部位の手がかりを得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Pyr4も含めた類縁のトランスポーター様新規テルペン環化酵素に関して、包括的に理解することが重要と考え、Pyr4の詳細な解析に留まらず、他のメロテルペノイド遺伝子クラスター中に見出された新規テルペン環化酵素に関しても機能解析を進めていく。各環化酵素により触媒される反応は、基質も環化様式も異なるため、これらを比較検討することで、反応や基質特異性に関与する部位が明らかになるものと期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はプラスミド作製、糸状菌での発現機能解析が中心となるため、分子生物学と生化学の消耗品試薬の購入が主な使途となる予定である。
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