2012 Fiscal Year Research-status Report
フルオロミクスを基点とする生理活性ペプチド類の低炭素化グリーン合成
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23580154
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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Keywords | フルオロミクス / ミディアムフルオラス / 縮合 / ペプチド / 生理活性 |
Research Abstract |
有機分子中にフルオラスタグを組み込み、分子中のフルオラス含量を考慮して分子物性をコントロールする「フルオロミクス」という概念を基点とすることで、省エネルギー型分子合成技術の開拓を目指して研究を展開した。昨年度までにペプチド合成におけるアミノ酸の縮合試薬として、エピメリ化を最小限に抑えつつ、リサイクル使用も可能なフルオラス縮合試薬(ミディアムフルオラス向山試薬)の開発に成功し、煩雑な精製過程を経ることなく目的生成物と副生成物を簡便に分離できる縮合反応系を見出すことができた。今年度は、本フルオラス縮合試薬を用いるTenuecyclamide A(inhibitor of the division of sea urchin embryos)のすべての立体異性体の省エネルギー型全合成の達成を目的として研究を行った。出発原料である絶対配置の異なるアミノ酸の N末端をフルオラス含量の異なるフルオラス Fmoc 試薬により保護して立体中心をエンコード化した後、スプリット型の液相コンビナトリアル合成を行えば、構造決定を伴ったペプチド類の簡便な立体異性体合成が達成できるものと考えられる。本手法によりペプチド類の液相ミクスチャー合成を達成するためには、フルオラス含量の異なる Fmoc 試薬の合成が必須となることから、異なるフルオラスタグを有する Fmoc 試薬がミクスチャー合成により一挙に合成できるか精査した。その結果、フルオラスタグの導入段階である Heck 反応において、3種類のフルオラスオレフィンを加える順序や、反応温度等の制御により、フルオラス含量の異なる3種類の対称型フルオラス Fmoc 試薬がミクスチャー合成にて効率よく調製できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有用な生理活性ペプチド類の省エネルギー型液相コンビナトリアル合成に必須となるアミノ酸不斉中心のエンコード化試薬(フルオラス Fmoc 試薬)をミクスチャー合成により効率良く合成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での目的は「有機分子中のフルオラスバランスを考慮したフルオロミクスの概念を有機合成手法に導入し、新しい低炭素化合成システムを達成することであり、①半永久的リサイクル型フルオラスメタセシス触媒の創成, ②ミディアムフルオラス縮合剤の開発, ③溶媒組成変化に基づくフルオラス触媒簡易回収システム, ④アミノ酸不斉中心のフルオラスエンコード法による液相コンビナトリアルペプチド合成の達成を目指すと共に, これら①~④の知見を統合した合成手法により、実際に有用な生理活性ペプチド類の省エネルギー型合成をエンドポイントとして達成することである。②は既に達成できていることから、本フルオラス縮合試薬(和光純薬コードNo.037-20913)を鍵反応に用いて、④のアミノ酸不斉中心のフルオラスエンコード法による生理活性ペプチド類縁体(Tenuecyclamide A)のすべての立体異性体の液相コンビナトリアル合成の達成を目指す。また同時に有機合成分野において強力なツールの一つであるメタセシス反応に関して、①の簡便にリサイクルできるフルオラスメタセシス触媒の創成も並行して展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類の消耗品に約90%、学会発表(旅費等)に約5%、その他(研究成果投稿料)に約5%の内訳で計画している。
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