2013 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロミクスを基点とする生理活性ペプチド類の低炭素化グリーン合成
Project/Area Number |
23580154
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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Keywords | フルオロミクス / ペプチド / 天然物 / コンビナトリアル合成 / 生物活性 |
Research Abstract |
有機分子中にフルオラスタグを組み込み、分子物性をコントロールする「フルオロミクス」を基点とし、省エネルギー型分子合成技術の開拓を目指して研究を展開した。昨年度までにアミノ酸の縮合試薬としてリサイクル使用が可能なフルオラス脱水縮合試薬(ミディアムフルオラス向山試薬)の開発に成功し、煩雑な精製過程を経ることなく反応終了後に目的生成物と副生成物を簡便に分離できる縮合反応系を見出している。今年度(最終前年度)は、フルオロミクスによる生理活性物質 (Tenuecyclamide A:inhibitor of the division of sea urchin embryos) のすべての立体異性体の省エネルギー型全合成を計画し、研究を遂行した。具体的には、既に我々が報告したフルオラス Fmoc 試薬を出発原料のアミノ酸の不斉中心のエンコード化に利用し、構造決定を伴ったスプリット型の液相コンビナトリアル合成手法による合成を試みた。その結果、 Tenuecyclamide A (天然型立体配置)を含むすべての立体異性体(8個)の全合成を達成することに成功した。通常の合成ルートでは136 段階の合成ステップを必要とする当該化合物の全立体異性体合成を、出発原料のアミノ酸の保護及び最終段階での脱保護段階を含めて52 段階の合成ステップで達成した。本合成の鍵反応となる最終段階のマクロラクタム化では、前述のフルオラス縮合剤を希釈条件下で用いる事で極めて効率よく全合成を達成できることも明らかにした。現在、共同研究先の製薬企業にて、非天然型立体異性体のランダムスクリーニングによる活性評価を行っている。さらに、本フルオラス保護基を活用する液相コンビナトリアル合成手法をペプチド合成にも展開し、ACE 詐害活性を有するトリペプチド誘導体を効率良く合成することにも成功した。
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