2011 Fiscal Year Research-status Report
脳炎症時におけるトリプトファン代謝鍵酵素による神経毒制御機構の解明
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23580158
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江頭 祐嘉合 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80213528)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トリプトファン / ミクログリア / 炎症 / LPS / ACMSD |
Research Abstract |
トリプトファン・ナイアシン代謝の鍵酵素であるアミノカルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)、キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)は、神経毒キノリン酸の生成に影響を与える。キノリン酸はトリプトファン・ナイアシン転換経路の中間代謝産物でナイアシンの生成にも必要なものであるが、中枢神経系に多量に存在すると神経細胞を変性させることが知られている。ACMSDやIDOは栄養成分、ホルモン、ある種の疾病で活性が変動する。しかしその調節機構は明らかではない。そこで本研究は、脳炎症時における食品成分によるトリプトファン代謝鍵酵素を介した神経毒制御機構を明らかにすることを目的とした。脳神経マクロファージ細胞であるミクログリア細胞を培養しこれにリポ多糖(LPS)で炎症刺激を与えた後に食品成分を添加し、トリプトファン・ナイアシン代謝の鍵酵素の発現への影響ならびに作用機序を調べた。ミクログリア細胞を培養し培養液にLPSを添加したところ、IDOの発現が上昇した。これにある種のポリフェノールを添加するとACMSDは変化しなかったがIDOの発現が減少した。この作用点を調べるため、MAPK経路とNFκB経路への影響を調べた。その結果、この成分の添加によりIKβの分解が抑制された。以上の結果から、この食品成分はNFκB経路を阻害することによりIDOの発現を抑制することが示唆された。In vivoの実験においてラットにフィトールやコレステロールを混餌投与したところ、トリプトファン代謝鍵酵素の活性および遺伝子発現に影響を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験で用いる細胞の培養条件、測定項目の実験条件、技術を確立することが出来た。さらに、ある種の食品成分はNFκB経路の阻害を介してIDOの発現を抑制するという作用機序の一部を解明することが出来た。以上の理由により、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳炎症時における食品成分によるトリプトファン代謝鍵酵素を介した神経毒制御機構を明らかにするため、今後トリプトファン・ナイアシン代謝の鍵酵素の核内転写因子、情報伝達機構を詳細に調べていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)今年度の結果の再現性を確認するとともに、他のミクログリア細胞でも同様の結果を示すか同様の実験を行う。2)脳炎症モデルマウスを作成し、食品成分を経口投与し、脳組織におけるトリプトファン・ナイアシン代謝の鍵酵素の発現、代謝産物を測定する。3)神経毒キノリン酸の産生に影響を与えるACMSDの転写因子を阻害剤等を使用し探索する。4)ACMSDのプロモーター部位の配列を求めるため、レポーターアッセイの実験を構築する。
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