2013 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化二次反応の制御に対するビタミンEの作用機構
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23580162
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山内 亮 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50126760)
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Keywords | ビタミンE / α-トコフェロール / 抗酸化 / 脂質過酸化 / フリーラジカル / 脂質ヒドロペルオキシド / リポソーム |
Research Abstract |
ビタミンE(α-トコフェロール、TH)は、フリーラジカル捕捉剤として脂質過酸化一次反応を停止させる。一方、一次反応で生じた脂質ヒドロペルオキシドは、遷移金属などによってレドックス分解を受けると毒性を示すアルデヒドなどの酸化二次生成物を生じる。THは脂質過酸化二次酸化反応に対して何らかの作用を示すと考えられるが、その詳細は不明である。そこで本研究は、ヘミン触媒によるリン脂質ヒドロペルオキシドの分解に対するTHの作用を生体膜モデルであるリポソームで検討し、脂質過酸化二次反応におけるTHの役割を明らかにすることを目的とした。 1-パルミトイル-2-リノレオイルホスファチジルコリン(PLPC)にリポキシゲナーゼを作用させてヒドロペルオキシド(PLPC-OOH)を調製した。PLPC-OOHは1-パルミトイル-2-オレオイルPC(POPC)リポソーム膜に組み込み、ヘミン触媒により脂質過酸化二次反応を行った。その結果、ヘミンの添加によってPLPC-OOHの急激な分解とヘキサナール生成が認められた。本リポソーム膜にTHを組み込むと、PLPC-OOH分解速度はやや促進されたが、ヘキサナールの生成はTH量に比例して抑制された。さらにPOPCリポソーム膜におけるTH反応生成物を調べたところ、主要生成物はTH二量体とPLPC-OOHのレドックス分解で生じたepoxyPLPCペルオキシルラジカルとTHとの付加体(TOO-epoxyPLPC)であった。また、このリポソーム膜を界面活性剤で破壊すると、生成したTOO-epoxyPLPCは速やかに分解されてTHキノンが検出された。 以上の結果より、リポソーム膜において、THは脂質ヒドロペルオキシドのレドックス分解で生じたフリーラジカル種と反応して安定な付加体を形成することで、脂質過酸化二次反応の最終産物であるアルデヒド生成を抑制できることが明らかとなった。
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