2012 Fiscal Year Research-status Report
トコトリエノールによるパーキンソン病モデル細胞の保護作用機構に関する研究
Project/Area Number |
23580168
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松浦 達也 鳥取大学, 医学部, 教授 (00199746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部, 講師 (30379648)
|
Keywords | トコトリエノール / パーキンソン病 / αシヌクレイン / 非抗酸化作用 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)は代表的な神経変性疾患であり、酸化ストレスが病態の一部に関与することが報告されている。ビタミンEがPD発症を抑制する可能性が示唆されているが、種々の抗酸化物質による治療や発症予防の試みによってもPDに対する明確な効果は証明されていない。本研究では近年注目されているビタミンEの非抗酸化作用による抗PD効果の可能性を探るために、ビタミンE同族体のトコトリエノール(T3)を用いてPDモデル細胞に対する保護効果とその機序を検討した。その結果、前年度の実験で、T3同族体の内、γ-, δ-T3の保護効果が優れていることが明らかになり、T3による細胞保護機序として、PI3K/Akt経路の活性化が認められた。本年度の研究ではPI3K/Aktシグナルの上流分子として、既報告から候補分子を絞り込み、阻害剤およびsiRNAを用いた検討からエストロゲン受容体β(ERβ)を同定した。T3およびトリチウムラベルしたエストラジオールのERβ への結合競合実験により、T3のERβへの結合が確認された。T3のERβへの結合能はδ- > γ-> β-> α-の順であった。前年度の実験で明らかになったT3同族体の細胞保護効果の差はT3のERβへの結合能の差と相関しており、T3が抗酸化能以外にERβそしてPI3K/Aktシグナルを介して細胞保護に働いているという新しい知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はPI3K/Aktシグナルの上流分子の同定と解析を目的としていた。上流分子として、既報告から候補分子を絞り込み、阻害剤およびsiRNAを用いた検討からエストロゲン受容体β(ERβ)を同定した。トコトリエノール(T3)およびトリチウムラベルしたエストラジオールのERβ への結合競合実験により、T3のERβへの結合が確認された。T3のERβへの結合能はδ- > γ-> β-> α-の順であった。本年度の研究実施は上記の結果よりおおむね達成されているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ERを介したシグナルは、カベオラ形成と深く関与していることが示唆されている。そこでカベオラ形成が、T3/ ERβを介した細胞保護効果にどのように影響するのかを検討する。さらに動物実験として、マウスにMPTPを投与するパーキンソン病(PD)モデルを用い、トコフェロールおよびT3の抗PD効果を行動学的および病理学的に検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(4 results)