2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580170
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井内 良仁 山口大学, 農学部, 准教授 (60272069)
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Keywords | スーパーオキシドディスムターゼ欠損 / 抗酸化物質 / 線維芽細胞 / 新規評価法 |
Research Abstract |
抗酸化物質の評価に用いられるアッセイには、体内の酸素濃度約2 %に比して高酸素濃度である20 % O2濃度下での培養細胞系が一般的に利用される。このような条件下で選別される抗酸化物質は、強すぎる抗酸化活性を有し生体に副作用を及ぼす可能性も考えられるため、より生体内に近い条件で抗酸化物質を検出するアッセイ系を開発する必要がある。近年、抗酸化酵素スーパーオキシドディスムターゼ1の遺伝子欠損(SOD1 KO)マウスから単離した線維芽細胞(MEF)が、通常酸素濃度(20%)を酸化ストレスとして認知し、死滅することを見いだした。本研究では、生体内に近い条件での有効な抗酸化物質の検出系を確立することを目的として開始した。。 まずSOD1-KO MEFが死滅する20 %酸素濃度下で細胞増殖するかを指標に、既知のモデル化合物を用いて検討した。その結果、アスコルビン酸添加により細胞増殖が観察された。グルタチオン、カテキン、コエンザイムQ10の添加群でも細胞死の抑制が観察された。このことから、酸化ストレスに脆弱なSOD1-KO MEFの維持増殖が可能な抗酸化物質が存在することがわかり、今後、未知な抗酸化物質の評価に応用可能なことが示された。 さらに、WT MEFに酸化剤と抗酸化物質を添加する従来の評価法と、今回確立したSOD1 KO MEFに抗酸化剤を加える評価法を、代表的な抗酸化物質であるカテキンを用いて比較検討した。その結果、SOD1 KO MEFを用いる本法が、より鋭敏にカテキンの抗酸化能を検出することがわかった。 本研究により、SOD1 KO MEFを用いた抗酸化物質の新たな評価法が確立でき、その方法が既知の抗酸化物質の再評価並びに未知の抗酸化物質の評価に応用可能であることがわかった。
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