2011 Fiscal Year Research-status Report
アントシアニンの細胞標的分子の同定: MAPキナーゼとの直接結合の解明
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23580176
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
侯 徳興 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90305160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 文雄 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70244142)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アントシアニン / MAPキナーゼ / 親和力 / 細胞標的分子 |
Research Abstract |
アントシアニンは赤や紫色の食材に含まれているポリフェノール類の低分子化合物である。疫学調査および動物実験の結果ではアントシアニンは癌予防機能を有し、機能性食品因子として大きく注目されている。これまでの研究成果はアントシアニンがMAPキナーゼのリン酸化を阻害し、細胞癌化を抑制することを明らかにした。本研究は、アントシアニンがMAPキナーゼを直接的な標的分子にするか明らかにするものである。その研究目標を達成するため、初年度は、まず研究材料としてのアントシアニンおよびそのアグリコンの抽出や精製を行った。アントシアニン素材からデルフィニジンおよび糖結合をもつ数種類のグリコサイドを得た。次に、アントシアニンとMAPキナーゼとの親和力を解析した。B-RAF, MEK,ERK等のMAPキナーゼをそれぞれセンサーチップに固定し、水晶発振子マイクロバランス装置により各種アントシアニンまたはそのアグリコンとの結合解離定数を算出し、MAPキナーゼの親和力を明らかにした。その結果、アントシアニンとMAPキナーゼとの親和力は、デルフィニジン > グリコサイド(そのうち、単糖結合 > 複数糖結合)の順で、MAPキナーゼとデルフィニジンとの親和力は、MEK1 > ERK > B-RAFの順であった。 これらのアントシアニンとMAPキナーゼとの親和力の強さは、アントシアニンの細胞癌化抑制効果の強さと同じ傾向を示しており、アントシアニンの細胞癌化抑制機構の解明に向けて大きな一歩を前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験材料の準備および解析手法の習得を早くすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた親和力の強いアントシアニンとMAPキナーゼを選定し、インビトロおよび細胞レベルでその結合特異性をさらに解析する。まず、インビトロでアントシアニンをビーズにカップリングさせ、候補 MAPキナーゼとの直接的な結合実験を行う。非特異的な結合タンパク質は洗浄により除去し、結合したタンパク質をSDS-PAGEにより分離し、ウェスターンブロット後、結合したMAPキナーゼをモノナル抗体により検出する。さらに培養細胞から細胞総タンパク質を抽出し、ビーズにカップリングされたアントシアニンと結合実験を細胞レベルで行う。洗浄分離後、モノナル抗体によりアントシアニンと細胞 MAPキナーゼとの結合特異性を解析する。これらの方策によって、アントシアニンとMAPキナーゼとの直接結合を化学的および細胞レベルで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) アントシアニンとMAPキナーゼとの直接結合を解析する実験費用: 計1,020,000円(内訳:アントシアニン精製-200,000円; 精製MAPK及びそれらの抗体-420,000円; 細胞培養-400,000円)。(2) 学会参加旅費: 80,000円(3) 研究補助謝金: 100,000円
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