2011 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス制御転写因子を標的とした脂肪肝炎の発症機構の解明と食品成分による予防
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23580188
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田中 裕滋 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (00465650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上硲 俊法 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (20233934)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 酸化ストレス / Nrf2 / 鉄過剰蓄積 |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態発症機序には脂肪肝患者において鉄の過剰蓄積などに由来する酸化ストレスとの関連性が指摘されている。一方、酸化ストレスに対する防御遺伝子群を制御する転写因子Nrf2が近年注目されている。我々は、肝臓における鉄代謝と脂質代謝がNrf2により如何なる制御をうけているか解明するために7週齢雄性野生型(WT)およびNrf2欠損(KO)マウスに以下の4群の食餌 1) 4%大豆油食12週間(コントロール食群) 2) 4%大豆油食8週間の後、4%大豆油食+0.5%カルボニル鉄4週間(鉄添加食群) 3) 4%大豆油食+16%ラード食12週間(高脂肪食群) 4) 4%大豆油食+16%ラード食8週間の後、4%大豆油食+16%ラード食+0.5%カルボニル鉄4週間(鉄添加高脂肪食群)を摂取させ12週目に肝及び血液を採取した。血液生化学検査と肝内脂質濃度測定及び肝組織学的検討を行った。血中コレステロールが高脂肪食群間でKOに比較してWTで増加していた。肝内脂質に関しては、WT内群間でコントロール食群に比較して鉄添加高脂肪食群で総コレステロールの増加を認め、高脂肪食群及び鉄添加高脂肪食群で中性脂肪の増加を認めた。コントロール食群間でWTに比較してKOで中性脂肪の増加傾向を認めたがKO内群間で変化を認めなかった。このことより、Nrf2と脂質代謝や脂肪肝との関連性が示唆され、脂質代謝関連遺伝子の発現量について検討中である。また、KOの全食餌群で16%~32%の頻度で血中ビリルビンの上昇を認め、組織学的検討では一部のKOにおいて肝線維化を認めた。このことより、一部のKOでは線維化に至る要因の存在が示唆される。要因の一つとして考えられる肝内鉄や酸化ストレスを測定し、鉄代謝関連遺伝子の発現量についても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成23年度は野生型とNrf2欠損型のマウスの繁殖および実験食の負荷を行う予定であったが、実際は平成24年度の予定の一部である血液と肝臓の生化学検査と脂質検査、及び組織学的検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、平成23年度に得られた血液や肝臓サンプルを用いて、肝内鉄量や酸化ストレスのマーカー及び脂質代謝、鉄代謝に関連する遺伝子の発現を定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肝内鉄量や酸化ストレスのマーカーを測定するための試薬や多検体を処理するための定温乾燥器を購入する予定。
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