2013 Fiscal Year Annual Research Report
食品キサントフィルの代謝変換と光酸化ストレス制御機能の解析
Project/Area Number |
23580189
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
長尾 昭彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品素材科学研究領域, 上席研究員 (40353958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小竹 英一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品素材科学研究領域, 主任研究員 (20547236)
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Keywords | キサントフィル / ルテイン / ゼアキサンチン / β-クリプトキサンチン / 酸化的代謝 / NO産生 / 光酸化安定性 / 抗炎症 |
Research Abstract |
ヒト組織の主要なキサントフィルであるルテインやゼアキサンチンは,網膜黄斑に特異的に集積し網膜における光酸化障害抑制に寄与していると考えられている。キサントフィルを機能性成分として活用していくためには、体内動態と光酸化ストレス抑制機構を明らかにする必要がある。本研究では、キサントフィルの酸化的代謝、代謝産物の生物活性及び光酸化ストレス制御機能について調べた。 マウス肝臓を用いた代謝反応系で、キサントフィルから種々のケトカロテノイドが生成した。反応産物の構造に基づき反応機構を推定した。キサントフィルのβ末端基の3位に結合する水酸基が補酵素NAD依存的に脱水素され、中間体である3-oxo β末端基へ酸化される。この中間体は極めて不安定なため大部分が酸化分解され、一部が二重結合の移動により3-oxo ε末端基へ異性化する。この酸化的代謝反応は3-oxo ε末端基型へ変換する反応であるとともに、キサントフィルの消失動態を担う代謝反応と考えられ、キサントフィルの生体利用性に大きく影響すると考えられた。 最終年度では、酸化ストレス制御機能について調べた。ケトカロテノイドは、元のキサントフィルと異なりRAW264マウスマクロファージ細胞による一酸化窒素の生成を抑制した。酸化的代謝産物には炎症時の過剰な活性酸素生成を抑制し炎症を緩和する可能性がある。さらに、ヒト網膜色素細胞ARPE-19を用いて光酸化ストレス制御機能を調べた。ルテインを集積しやすい性質をもっていたが、青色光照射による光酸化ストレスを抑制する作用をin vitroで実証することはできなかった。一方、これらのキサントフィルの細胞内での光安定性は他のカロテノイドに比べ格段に優れていることが分かった。その理由は不明であるが、このような特性が黄斑における光障害抑制作用や青色光フィルターとしての機能に重要であることが示唆された。
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