2013 Fiscal Year Annual Research Report
[金属イオン-配位子]カクテルを用いた新規なキラル配位子交換法の開発
Project/Area Number |
23580192
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小玉 修嗣 東海大学, 理学部, 教授 (70360807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敦 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)
會澤 宣一 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60231099)
多賀 淳 近畿大学, 薬学部, 准教授 (20247951)
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Keywords | 光学異性体 / 配位子交換 / キャピラリー電気泳動 / 有機酸 / 光学分割 / 金属イオン / ジュース |
Research Abstract |
有機酸の中には光学異性体構造を有するものがあり、生体中の代謝物として重要な役割を果たしている。また、有機酸は食品の主要成分であり、添加物としても利用されている。これまで実試料分析可能な有機酸類の一斉分析法は報告されていない。昨年度は、キャピラリー電気泳動法の泳動緩衝液に2種類の金属イオン(Cu(II)及びAl(III)イオン)とD-キナ酸を用いた配位子交換法により、リンゴ酸、酒石酸及びイソクエン酸を一斉に光学異性体分析できる方法を開発した。今年度はこの配位子交換法をジュースの分析に適用することを試みた。 これまで、リンゴ酸、酒石酸、イソクエン酸の光学異性体分離に注目してきたが、クエン酸もジュース中の主要な有機酸であるためピークの確認を行った。その結果、クエン酸は酒石酸とイソクエン酸のピークにまたがるようなブロードなピーク形状を示した。そこで、2種類の金属イオンの組み合わせを再検討し、Cu(II)とSc(III)イオンの組み合わせにより4種類の有機酸およびその光学異性体をすべて分離できることが分かった。この分析系ではシュウ酸とマロン酸のピークも良好に検出できたが、乳酸などの1価の有機酸は検出されなかった。また、コハク酸、マレイン酸やフマル酸のピークも検出できなかった。これは検出に必要な安定な錯体形成が起こりにくいためと推定された。すなわち、検出された有機酸はCu(II) イオンと5員環あるいは6員環キレートを有する錯体を形成するのに対し、コハク酸やマレイン酸は不安定な7員環キレートとなり、フマル酸はキレートを形成できないためと考えられる。本法を用いてリンゴ、ブドウおよびオレンジジュースなどの分析を行った。試料は水で希釈し、遠心分離した上清のろ液を用いた。その結果、これらジュース類中の有機酸を良好に分析できることが分かった。ブドウジュース1件からD-リンゴ酸が検出された。
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Research Products
(5 results)