2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580194
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (60312401)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生態系管理 / 多面的機能 / 非皆伐施業 / 針広混交林 / シミュレーション |
Research Abstract |
本申請課題では、北海道北部の、択伐によって管理されている天然生林を対象として、1.森林の持つ複数の機能評価、2. それら各種の機能が持つ、森林の構造的な特性との関係の解明、3. 森林動態シミュレーションモデルの結果をもとに、量的・質的なガイドラインを含む森林管理モデルを提示することを目的とした。研究初年度の2011年度は、それぞれ、下記の項目について調査を進めた。1. 択伐林分における、生態系炭素貯留の評価を中心に行なった。長期的な変化を、地上観測とリモートセンシング(航空機LiDAR測量と空中写真)を組み合わせた定量化により推定した結果、立木の蓄積を保つことができれば、択伐施業は炭素貯留の面でも有効な施業方法になりうることが示された。この成果は次年度に国際誌へ投稿する予定ある。また、生物多様性の評価のひとつとして、林床植生に関する調査を進めた。2. 林分の構造的な特性の中で、とくに生物多様性と密接な関係を持つ構成要素に注目し、択伐施業林分と無施業林分で、それらの存在量や空間パターンを比較した。上層木に係る要素には林分間で差が認められなかったが、択伐林分では下層植生の多様性や枯死木の量が低下することが明らかになった。この成果は次年度に国際誌へ投稿する予定ある。枯死木については、物質循環、生物多様性双方への寄与について、詳細な調査を平行して進めている。3. これまでに構築してきたシミュレーションモデル(SORTIE/ND)に、上述の調査で新たに得られたパラメータ値を取り込み、モデルの改善を進めた。この時点における施業シナリオ分析の成果について国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、平成23年度の実施予定項目(炭素貯留量の推定、下層植生・枯死木に係る生物多様性)は順調に達成することができた。一部、予定していた調査が完了しなかったケースもあったが、次年度以降に補うことが可能な範囲と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の森林施業への応用を鑑みて、今年度は、林相の異なる択伐林分において調査を行なう。また、択伐施業林分内の小流域における物質循環過程についての調査を進める。前年度に行なった、炭素貯留および構造の林分間比較に関しては、補足的なデータを加味したうえで学術論文としてまとめ、国際誌へ投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(9 results)