2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒノキ一斉林に対する漸伐作業導入のための更新期モデルの提案
Project/Area Number |
23580200
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
植木 達人 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (90221100)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 漸伐作業 / 更新期 / 下種伐 / 後伐 / 更新木損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒノキ一斉林への漸伐作業法の技術的確立を目指し、特に作業の支柱を成す「下種伐~後伐」について考察をおこない、「更新期モデル」を提示することにある。特に漸伐作業の生命線といわれる下種伐から後伐の時期において、更新のきっかけを作る下種伐のタイミングと下種伐率、更新補助作業の有無、また後伐における伐採回数と最終伐採(終伐)の時期等について、ヒノキ漸伐作業の基本モデルを提示するものである。 平成26年度では、大きく2つの成果を得ることができた。一つは下種伐後のヒノキ天然更新の成果として、伐採率が30%であったPlotCが、伐採率が50%であったPlotA、PlotBよりも当年生実生の発生本数が多い傾向にあったが、伐採後3年目になるとプロット間に差がみられなかった。また光量が増加したPlotA、PlotBではPlotCに比べヒノキ実生の生存率および成長率が高かった。さらにいずれのプロットにおいても伐採後3年目の広葉樹の発生・生存は低く、これは広葉樹の発生・成長を促進する60%以上の伐採率を下回る伐採率であったことによるものと推察できた。広葉樹など多樹種の発生が少ないことは漸伐作業の効果を高める要因だといえる。 二つめとして、後伐の最終段階である上木の除去(終伐)における更新木の損傷状態を把握した。その結果、作業システムは「伐倒(チェンソー)-枝払い(チェンソー)-木寄せ・造材(ハーベスタ)-運材(フォワーダ)」によって行われたが、伐出前の更新木本数10,904本/ha、伐出後の更新木本数5,584本/haであり、無損傷46.5%、何らかの損傷53.3%であった。損傷の形態は消失41.1%、傾斜17.5%、枝折れ(小)15.8%、樹皮剥離10.1%の順に多かった。損傷は作業道周辺に集中していたことから路網配置の工夫、また枝条残渣の処理方法の検討が必要であることが示唆された。
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