2012 Fiscal Year Research-status Report
地形と林分構造の複雑性が森林内風環境に及ぼす影響・施業シナリオへのCFDの応用
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23580202
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
齊藤 哲 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (30353692)
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Keywords | LESモデル / 複雑林冠 / 複雑地形 / 抗力係数 / 風害 |
Research Abstract |
林冠表面上を通過する風況予測LESモデルを開発し、間伐およびギャップの効果を予測することができるようになった。この結果、ギャップ創出後に突風率および渦強度が増加することを予測した。また山岳斜面においては樹冠への下降圧力が側方圧力より卓越するケースがあることを予測できた。 樹冠の抗力係数をスギについて測定した。スギの抗力係数はヒノキよりやや小さかった。抗力係数の風速に伴う変化を流線化係数とすると、流線化係数が大きい個体は樹冠面積が変化しやすい個体であり側方からの葉面積密度が高い個体ほど流線化係数は小さかった。ある風速の時の抗力係数は抗力係数のポテンシャルと流線化の程度の二つのパラメータで示すことができるが、樹冠因子と強く結びついているのは流線化のしやすさであった。抗力は流線化を呈した側方から見た遮蔽面積と密接な関係にあったが、この関係はヒノキで個体差が大きく、スギで小さかった。このことはヒノキの樹冠の複雑な葉群配列に起因していることを示唆した。 九州で生じたスギ林の風害イベント発生率を長期間の風況や森林構造と結び付けて解析して、年齢の高い森林が風害に脆弱であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
林冠表面上を通過する風動態のLESモデルを開発できた。このことによって様々な林冠の分断構造に伴う風挙動を知ることができるために、様々な森林施業に伴う風害リスク評価を間伐シナリオごとに行うことができる。 また曳航風洞実験によってスギおよびヒノキ樹冠の抗力係数の変化やその特性を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
測定した抗力係数とLESモデルのリンケージを行う必要がある。さらに流線化状態での林冠構造をモデル化する。 林冠表面LESモデルの実際の風速データとの検証を行う。 様々な地形条件でさまざまな間伐シナリオごとの風況予測を行う。この風況予測値と個体の風害耐性を組み合わせることで、森林施業ごとの風害リスクの継時変化を地形環境と組み合わせて予測する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主としてモデル検証のための風速測定に必要な消耗物品の購入に使用する。 また調査現地への移動や学会における発表のための旅費に用いる。
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