2014 Fiscal Year Annual Research Report
人工林における炭素固定能の樹木形質を利用した広域的評価
Project/Area Number |
23580208
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
榎木 勉 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10305188)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | スギ・ヒノキ / 樹木形質 / 品種 / 九州 / 施業 / 気象 / 樹齢 / 炭素・窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
福岡県に位置する九州大学福岡演習林内の140年生のスギ造林地に生育するスギと隣接する二次林化した不成績造林地に生残するスギのリターフォール量およびリターフォール中の炭素・窒素含有量を比較した。また、日本の他のスギ人工林におけるこれらの値を文献から収集し、林齢による変化をモデル化したものとの比較した結果、140年生のスギ造林地の値はモデルで予測された値と同等であった。 大分県に位置する110年生のスギ造林地は植栽後90年目に強度、中度、弱度の間伐が試験的に実施されている。異なる強度の間伐区でリターフォール量と成長量の比較を継続して行った結果、1年目と2年目では同様の傾向が見られた。バイオマスあたりの成長量は弱度間伐区で小さく、中度・強度間伐区で大きかった。中度・強度間伐区間では成長量の差はみられなかったが、強度間伐区でリターフォール量は大きくなった。リターフォール量の増加には雄花生産量の寄与が大きかった。 宮崎県椎葉村にある九州大学宮崎演習林、鹿児島県垂水市にある鹿児島大学高隈演習林、宮崎県田野市にある宮崎大学田野フィールド、愛媛大学米之野森林研究センター内に設定されたスギ品種試験地で落葉の採集を行った。これらのスギ品種試験地では昭和43年から46年にかけて12品種が同一のフォーマットで植栽されている。同一地域内における落葉の窒素濃度は0.3%から0.9%と大きな変異があったが、樹高など樹木の成長量は地域間差の方が大きかった。また、林分調査の結果からは、品種による葉やシュートの形態の違いは樹形の違いを生じさせ、その結果台風や大雪などによる撹乱に対する感受性に影響を及ぼしていることが明らかとなった。これらの結果は、品種の適正を地域の環境に応じて選択することの重要性を示唆する。
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