2013 Fiscal Year Annual Research Report
年輪解析によるウダイカンバ衰退パターンの抽出と衰退の発生に及ぼす食葉性昆虫の影響
Project/Area Number |
23580214
|
Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
大野 泰之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30414246)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 陽子 北海道大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (30532452)
松木 佐和子 岩手大学, 農学部, 講師 (40443981)
|
Keywords | ウダイカンバ / 食葉性昆虫 / 樹木衰退 / 二次展葉 / 成長履歴 |
Research Abstract |
食葉性昆虫により食害されたウダイカンバが衰退・死亡にいたる過程を明らかにするため、樹齢約90年のウダイカンバ46個体を対象に、食葉性昆虫による食害の程度と食害後の枝葉の応答、衰退状況の経年変化、食害以前の直径成長量を個体レベルで調査した。 観察を行った2006~2013年のうち、激しい食害は2006-2008年のそれぞれ7月に観察された。食害後の枝葉の応答は食害の程度によって異なり、激しく食害されたウダイカンバでは食害から3~4週間後(8月中旬)に二次展葉し、新しい葉(二次葉)が形成された。2009年6月に観察木に著しい衰退が認められたため、樹冠部の枝全体に占める枯枝の割合を指標とし、衰退の程度を軽度(枯枝の割合:20%以下)、中度(枯枝の割合:21~50%)、重度(枯枝の割合:51~99%)に区分した。観察木の15%が重度の衰退木であった。年輪解析により食害を受ける以前の平均年輪幅を重度の衰退木とそれ以外の個体との間で比較した結果、重度の衰退木の肥大成長は食害を受ける20年ほど前から低下していた。食害を受ける以前の年輪幅、食害の程度との関係から重度の衰退木となる確率を解析した結果、低成長の個体が激しい食害を受けた場合に重度の衰退木となりやすいことが明らかとなった。2009年以降の死亡率は衰退の程度によって大きく異なり、軽度、中度の死亡率はそれぞれ0%、20%であったのに対し、重度の衰退木では80%を超えていた。以上の結果は、1)食害以前に低成長だったウダイカンバほど食害に対する感受性が高いため、重度の衰退に至りやすく、2)衰退の程度はその後の生存に影響し、衰退の進行した個体ほど死亡に至りやすいことを示していた。
|
Research Products
(3 results)