2013 Fiscal Year Annual Research Report
侵略的外来種ソウシチョウと在来生物群集の関係はシカ密度増加でどのように変化するか
Project/Area Number |
23580220
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 重穂 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, グループ長 (10353707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (50343801)
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Keywords | 外来生物 / ソウシチョウ / ニホンジカ / 植生改変 / 在来種 / 鳥類群集 |
Research Abstract |
外来種ソウシチョウの在来鳥類群集へ及ぼす影響がニホンジカの密度増加でどのように変化するかを明らかにするために、四国剣山系の西熊山国有林でソウシチョウと在来鳥類群集の調査を行った。ソウシチョウの密度はシカの増加が顕著になる前の2006-2008年にきわめて高く、その後、減少した。ソウシチョウと営巣ニッチェが重複する在来種ウグイスは同じ期間に密度が大きく低下した。一方、周辺地域においては、ソウシチョウの確認頻度が増加しており、ソウシチョウの高密度生息地がシカによる植生改変のために生息地として不適になり、ソウシチョウが周辺に分散した可能性が考えられた。東中国山地の氷ノ山においては、シカによる下層植生の貧弱化の進んだ地点ではソウシチョウを含む低木層依存型の鳥類の密度が低くなり、鳥類群集全体の種数、個体数ともに減少する傾向がみられた。ソウシチョウが侵入して30年以上経過した九州山地において鳥類群集が長期的にどのように変化したか明らかにするために、3か所の調査地で1990年代と2010年代の鳥類群集を比較した。菊池渓谷では1990年代にはソウシチョウは侵入初期で低密度だったが、2010年代には大きく増加したのに対し、在来種のウグイスは減少していた。雁俣山では1990年代にソウシチョウはすでに優占度が高かったが、2010年代にはさらに高くなり、一方、ウグイスは密度が低下していた。国見岳では1990年代に比べてソウシチョウの密度は2010年代には低下していたが、同時に在来種のウグイス、コマドリも低下していた。これはこの間にシカの密度が増加し、下層植生が衰退したことによるものと考えられた。これらの結果から、過去20年間でシカの密度増加による植生改変が顕著な場所とそうでない場所とで、ソウシチョウの在来種への影響の表れ方が異なるものと考えられた。
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