2011 Fiscal Year Research-status Report
リグニン分解酵素による抗生物質と紫外線吸収剤の毒性除去
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23580227
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西田 友昭 静岡大学, 農学部, 教授 (10252165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 教授 (70192549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 環境技術 / 有害化学物質 / 酵素 |
Research Abstract |
白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵素であるマンガンペルオキシダーゼ(MnP)およびラッカーゼ(Lac)を用いて、4種のテトラサイクリン系抗生物質(Tetracycline: TC、Chlortetracycline: CTC、Doxycycline: DCおよびOxytetracycline: OTC)を処理した。 MnP処理を行った結果、TCおよびOTCについては反応2時間で、CTCおよびDCについては反応1時間でほぼ完全な除去が認められた。一方、Lac単独処理では、反応4時間後においてもTC、CTC、DCおよびOTCは各々16、48、34および14%の除去にとどまった。これに対し、Lacの基質特異性を拡大しうる1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)を共存させたLac-HBT処理においては、テトラサイクリン系抗生物質(TCAs)の除去効率が顕著に向上し、TCおよびOTCは反応1時間で、CTCおよびDCは反応15分間で完全に消失した。このことから、Lac-HBT処理の方がMnPおよびLac処理よりもTCAs除去に有利と判断された。次いで、Lac-HBT処理によるTCAsの毒性除去効果を評価したところ、TCAs濃度の減少に伴って細菌類(大腸菌および枯草菌)、緑藻(ムレミカヅキモ)への増殖阻害(毒性)も除去され、TCおよびOTCについては反応1時間で、CTCおよびDCについては反応15分間で完全な除去が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)を共存させるラッカーゼ(Lac)処理によって、4種のテトラサイクリン系抗生物質の大腸菌、枯草菌および緑藻へ対する増殖阻害(毒性)が完全に除去されることを明らかにした。これらの成果を国内外の学会で発表し、国際学術誌(Bioresource Technology, 2010年度インパクトファクター: 4.365)へも投稿し掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
アントラサイクリン系抗生物質のDoxorubicin(Dox)をマンガンペルオキシダーゼ(MnP)、ラッカーゼ(Lac)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)を共存させるLac-HBT処理に供し、HPLC分析からDox分解に最も有効なリグニン酵素処理を明らかにする。さらには、Dox分解に最も有効なリグニン分解酵素処理において、Doxの毒性も除去されていることを、緑藻および細菌類を用いる増殖阻害試験により確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は、研究代表者が過去に調製し保存していたリグニン分解酵素(MnPおよびLac)を実験に供したため、白色腐朽菌を培養してMnPおよびLacを産生させ、培養液からこれらの酵素を分離・精製する工程および研究費が不要となった。今年度はMnPおよびLacの保存量が少ないため、前年度未使用の研究費をMnPおよびLacの産生・分離・精製に充当する。
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Research Products
(4 results)