2012 Fiscal Year Research-status Report
リグニン分解酵素による抗生物質と紫外線吸収剤の毒性除去
Project/Area Number |
23580227
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西田 友昭 静岡大学, 農学部, 教授 (10252165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 教授 (70192549)
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Keywords | 環境技術 / 有害化学物質 / リグニン分解酵素 |
Research Abstract |
白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵素であるラッカーゼ(Lac)およびマンガンペルオキシダーゼ(MnP)を用いて、アントラサイクリン系抗生物質のドキソルビシンとマクロライド系抗生物質のタイロシンを処理し、以下の結果を得た。 1.リグニン分解酵素によるドキソルビシン(DX)の処理 Lac処理を行った結果、反応4時間でDXは約50%除去された。次いで、Lacの基質特異性を拡大しうる1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)を共存させたLac-HBT処理を試みたところ、反応30分間で約60%の除去、2時間で完全な除去が認められ、Lac単独処理の場合よりもDXの除去効率は大きく向上した。一方、MnP処理を行った結果、反応30分間でDXの完全な除去が認められた。このことから、MnP処理がLacおよびLac-HBT処理よりもDXの除去に有利と判断された。なお、DXはオレンジ色を呈しているが、MnPで30分間処理すると無色となった。よって、DXのアントラキノン構造がMnPで変化を受けていることが推察された。 2.リグニン分解酵素によるタイロシン(TY)の処理 反応4時間後でも、Lac単独処理では約5%、MnP処理では約15%のTY除去にとどまった。一方、Lac-HBT処理では反応1時間で約40%、反応2時間で約75%のTY除去が認められ、反応4時間後には完全に消失した。よって、TY除去の場合にはLac-HBT処理が最も適していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵素によるドキソルビシン(DX)とタイロシン(TY)の分解除去を試み、DX除去にはマンガンペルオキシダーゼ処理が、TY除去には1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを共存させるラッカーゼ処理が有効なことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
日焼け防止剤として多用されているベンゾフェノン系紫外線吸収剤はエストロゲン様活性を有しており、現行の下水処理では分解を受けにくいことから生物への内分泌撹乱が懸念されている。そこで、白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵素であるマンガンペルオキシダーゼとラッカーゼを用いてベンゾフェノン系紫外線吸収剤を処理し、HPLC分析によって分解を確認する。さらには、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の分解に最も有効であった酵素処理において、エストロゲン様活性(毒性)も除去されているのかを組換え体酵母を用いるTwo-Hybrid法で確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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