2011 Fiscal Year Research-status Report
接着剤の微量塗布技術を用いた木質マイクロプライの開発
Project/Area Number |
23580232
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山内 秀文 秋田県立大学, 付置研究所, 准教授 (90279513)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 木質マイクロプライ / 微量接着 / 微量塗布 / 木質積層材料 |
Research Abstract |
2011年度は、実験に必要となる木質マイクロプライ(以下、MP)の基礎的調製技術について検討を行い、以下のような結果を得た。・インクジェット法(以下、IJ法)に適用できる接着剤はその種類や液性が極めて限定的であることから、より汎用的な微量塗布技術を確立するべく、スプレーによる新しい微量塗布技術を検討した。その結果、4g/m2の塗布量でIJ法と同様の性能を得ることに成功した。また、p-MDIや低粘度APIも塗布できること、それらの微量塗布で十分な接着性能が得られることが確認された。・フェノール樹脂を適用し、接着剤塗布後の時間経過と接着性能の変化について検討した。この結果、塗布後3時間の放置で含水率が気乾状態で平衡するまで放置した後に熱圧成形しても、十分な接着性能が得られることが明らかになり、接着剤をあらかじめ塗布した単板によるプリプレグ的使用も可能であることが示唆された。今後はより長時間の放置による影響も検討する。・1.0mm厚スギロータリー単板を用い、フェノール樹脂接着剤を1接着層あたり10g/m2塗布して3ply・合板条件の成形を行う際に、塗布直後、塗布後3時間風乾(気乾条件)、塗布後に60℃にて乾燥、の後に熱圧成形し、水分の影響を検討したところ、塗布直後と風乾のものでは成形後の厚さなどに差は見られなかった。より薄い単板では相対的な影響が大きくなるものの、付与水分の影響は小さいと考えられた。・厚さ0.3mmのスギロータリー単板を用い、フェノール樹脂接着剤を1接着層あたり5g/m2塗布して10ply・合板構成のモデルMPを作製し、物性評価を行った。その結果、密度0.4g/cm3の材料を得ることができ、MOR=42.5MPa、MOE=4.93GPaと、通常の厚さの単板・100g/m2以上の接着剤塗布量で製造されるスギ合板と同等以上の性能を有することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初計画の実験内容として考えていた接着使用方法の決定、熱圧成形条件の決定、基礎物性の評価の3点について、実験を進める中で当初に想定していなかったような課題が多少出てきているものの、どの課題に関しても概ね計画通りに検討することができており、次年度以降の研究推進に必要十分な知見が得られていることから、研究は概ね順調に進んでいると考えている。 また、次年度早々に、軽量薄物の木質多層積層材料に関する特許を申請するべく準備を進めており、概ね出願できるメドも立てることができるなど、予想を超える成果が得られている部分もあるものの、震災の影響でやむを得なかった面もあるが、外部研究者とのディスカッションが不足したなどの反省点もあり、総合的な評価は「2」としたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、MP物性に及ぼす積層数の影響を1)今年度構成を維持したまま積層数を増やす、2)今年度材料形状を維持したまま単板を薄層化し積層数を増やす、の2面から検討し、多層化による性能安定効果の評価を行うとともに、成形方法・条件のさらなる検討を行い、MPの合理的実施形態を明らかにする。 また、直交積層に加え45°積層など種々の積層条件を検討し、木質単板の配向制御が面物性に及ぼす影響について明らかにしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
厚さが1.0mm以下の針葉樹ロータリー単板については、実用的な木質材料生産に使われておらず、購入することが不可能であるため自家調整する必要がある。そのため、年度当初に履歴の明らかな丸太、特にスギ丸太をある程度の数量購入することを考えている。また、今年度は多くの材料調製を行うため、接着剤や離型シートをまとまって購入する必要があり、また、新たな接着剤塗布装置の改良のため、種々の予備パーツ類を購入することを考えており、それに見合う消耗品費および委託(加工)費を計上することにしたい。 また、単板調製はじめ、材料製造や性能評価において、単純作業やルーチンワークが多くなることが予想されることから、この作業を補助するアルバイトを雇用するための人件費を多めに計上する。 さらに、震災等の影響で今年度やや手薄となってしまった研究発表や他研究者の助言・協力を得るための旅費をやや多めに使用する計画にしている。
|
Research Products
(1 results)