2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト飲食により多機能性を発現するきのこの生体内での作用機序の解明
Project/Area Number |
23580234
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
江口 文陽 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (60337467)
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Keywords | きのこ / 担子菌 / 生活習慣病 / 脂質異常症 / 高血圧症 / ヒト試験 / 生理活性物質 / えのき氷 |
Research Abstract |
生活習慣病としての三大疾病や日常的にきのこを食すことによって健康を維持増進する可能性を探索するための評価系として血小板凝集抑制(血流)、ケモカイン遺伝子発現抑制(炎症)、アンギオテンシン変換酵素阻害活性(血圧)、リパーゼ阻害活性を培養細胞レベルで解析、それら評価系において良好な成績を示した数種のきのこの抽出物を疾患モデル動物とヒト臨床試験に供し、疾患改善のメカニズムを解析したところ、前年度の仮説を実証する結果が実験によって明確になった。すなわち、高血圧疾患の改善効果については、きのこ摂食後の尿酸トランスポーターおよびナトリウムトランスポーターへの関与、レニン-アンジオテンシン系が賦活され、Naイオン吸収を伴う血圧への影響、尿酸が再吸収され高尿酸血症になることを抑制する機序がヒメマツタケ、ハタケシメジ、エノキタケ、ヤマブシタケ、カワラタケ、マンネンタケなどで確認された。きのこ摂食後におけるHMG-CoA還元酵素阻害作用としてコレステロールが作られる過程での酵素の働きを阻害すること、血中LDLコレステロールと中性脂肪の低下、HDLコレステロールの増加に関する臨床検査値の結果から、小腸コレステロールトランスポーター阻害による小腸でのコレステロールの吸収阻害と肝臓でのコレステロール生成を抑える作用が確認された。これらの効果は、培養細胞レベルにとどまらず、エノキタケ加工食品(えのき氷)の臨床試験から確認された。 さらに、きのこの機能性効果や活性成分は、培養基材や添加栄養剤の種類、菌糸体や子実体(可食部)の生育ステージによって違いが明確に発現されるものであり、機能性素材としてきのこを議論するにはその栽培法や菌株などにも焦点をあてたエビデンスを構築することの重要性が明確になった。本研究によって当初の目的を達成したものと判断している。
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