2013 Fiscal Year Annual Research Report
再生セルロースゲルのシラン複合化による機能発現と分子構造の解明
Project/Area Number |
23580237
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
戸川 英二 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (60343810)
|
Keywords | セルロース / 有機・無機ハイブリッド / 高分子構造・物性 / バイオマス / ゾル-ゲル法 |
Research Abstract |
本研究は、無機シリカの前駆体であるシランをセルロースに複合化させることによって、各素材単独では発現できない物性が付与された新しい複合材料を創出し、その構造および性能を評価することを目的としている。本年度は、溶液からのセルロース再生プロセスと、各種シランのゾル-ゲル反応によるシリカ形成プロセスを共存させて、セルロース/シリカ複合フィルムを調製し、フィルムの特性を解析した。その結果、複合フィルムの形成機構は、セルロース再生溶剤の種類によって異なることが示唆された。水による再生の場合、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)以外のシランと混合した条件からはセルロースとの複合フィルムが得られた。フィルムの重量増加量から、特に2官能性シランを用いた複合化が、セルロースと高い反応性を示すことがわかった。APTESは、水によって溶出したため、複合フィルムを形成しなかった。一方、再生にエタノールを用いた場合は水の結果とは異なり、APTESのみから複合フィルムが得られた。複合フィルムの外観(透明性・平滑性)は、混合するシランの種類と量による変化が認められた。また力学物性も外観同様に、混合するシランの種類と量によって様々な物性を示すことが判明した。4官能性あるいは3官能性シランと複合化したセルロースフィルムの引張物性は、シラン混合量に比例して弾性率は増大し、伸びが低下する傾向を示した。逆に2官能性シランとの複合フィルムは、シラン混合量が増大するに従い弾性率は低下し、伸びが増大する傾向を示した。さらに熱分解挙動から、セルロース単独フィルムと比較して、耐熱性が向上した複合フィルムが得られた。 本研究の成果によって、セルロースとシランを複合化させることによって、従来には無い様々な物性を発現する新しいセルロース/無機シリカ複合フィルムの調製が可能となった。
|
Research Products
(2 results)