2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580238
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大平 辰朗 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 室長 (40353619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 直之 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80353853)
|
Keywords | テルペン / 二酸化窒素 / 粒子状物質 |
Research Abstract |
精油成分により二酸化窒素が捕捉・除去される機構を解明するために、本年度は第一に二酸化窒素除去率の高いテルペン類を核として生成する粒子に対してプローブ型顕微鏡下での観測を行った。その結果、世界で初めて生成した粒子状物質の観測に成功できた。第二に、二酸化窒素除去率の高い物質との間で生成する粒子状物質の生成挙動について粒子径分布測定装置、エアロゾル質量分析及び生成するガス状物質の生成挙動についてプロトン移動反応質量分析を実施した。その結果、二酸化窒素の除去活性の高いテルペン類では、粒子の生成が0.1分程度からと、極めて速やかであり、粒径も最大で4500nm以上の粒子が生成することがわかった。逆に除去率の低いテルペン類の場合、粒子状物質が検出され始めるのは早くても5分を要しており、生成した粒子状物質粒径は500nm程度でに留まっていた。粒子の核となるテルペン類の濃度を低くすると、粒子状物質の生成速度は遅くなり、またその粒径は小さくなることがわかった。粒子状物質の平均質量スペクトルの解析の結果、粒子を構成している物質は有機物/硝酸塩の比が15-23程度の範囲にあることがわかった。以上の成果は、生成した粒子状物質の化学的特性の解明において、重要な知見となる。また精油成分による新規な二酸化窒素除去方法の開発のための基礎基盤の確立に役立つもので、木質バイオマスのマテリアルとしての利用法の開発の一助になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精油成分と二酸化窒素との反応により生成した粒子状物質の化学的特性の一部が解明できた。生成する粒子状物質の特性が不明であったため、当初予定していた粒子状物質の生成因子等の解明は今後の課題となっていたが、粒径分布等の粒子状物質の特性に関するデータが整ってきたため、次年度には実施できると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
活性の高いテルペン類による二酸化窒素捕捉・除去の結果生成する粒子状物質の生成因子、例えば水分、共存有機物、濃度比などを明らかにし、粒子状物質の粒径、粒子数、粒子生成量への影響度を解明する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
粒子状物質の粒径分布等の測定のため、測定装置のレンタル費を支出する。その他、実験器具、データ整理のためのPC、試薬費などとして支出を予定している。また、実験補助員を雇い、効率化を図る。
|
Research Products
(4 results)