2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580238
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大平 辰朗 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 室長 (40353619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 直之 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80353853)
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Keywords | 抽出成分 / 生理活性成分 / 環境汚染物質 / テルペン |
Research Abstract |
精油成分により二酸化窒素が捕捉・除去される機構を解明するために生成する微粒子状物質の化学的特性や生成挙動等を多面的に解析した。その結果、単一精油構成物質と二酸化窒素との反応生成物の内、ガス状物質としては有機ニトロ化合物、有機硝酸塩が生成していないこと、二酸化窒素は精油構成物質に取り込まれて除去されていること、粒子生成は精油構成成分との反応が引き金になっていることなどがわかった。また、二酸化窒素除去率の高い物質により生成する粒子状物質の生成速度は0.1分程度と極めて速やかであり、粒径も最大で4500nm以上の粒子が生成することがわかった。逆に除去率の低い精油構成物質の場合、粒子状物質が検出され始めるのは早くても5分を要しており、生成した粒子状物質の粒径は500nm程度に留まっていた。粒子の核となるテルペン類の濃度を低くすると、粒子状物質の生成速度は遅くなり、またその粒径は小さくなることもわかった。粒子状物質の平均質量スペクトルの解析の結果、粒子を構成している物質は有機物/硝酸塩の比が15-23程度の範囲にあることがわかった。また粒子を形成している化合物の時間的変化は少なく、比較的簡単な組成ではないかと推察された。さらに、生成する粒子のプローブ型顕微鏡下での観測を行い、世界で初めて観測に成功した。これらの成果は、精油成分による新規な二酸化窒素除去方法の開発のための基礎基盤の確立に役立つものであり、バイオマスのマテリアル利用の開発の一助になる。
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